2015年03月20日の読書
2015年03月20日(Fri)
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本日の初読図書: 前田栄さんの同名小説のコミカライズ。 ……何故か全2巻で打ち切りになっていたと思い込んでたんですが、1〜2巻を読み返しついでに検索してみたら、続刊が出ていると知ってポチッとな。 三巻目は原作にはない短編「雪女」と、原作からお正月の魚介祭りだけを抽出したミニエピソード。 そして謎の男プリンスが暗躍するお話で、さらわれた和菓子屋さんの孫娘を救いに行った二人が、地下で金髪美女達の死体を発見するところまでを収録。 プリンス編には、凍雨に招待状を送るために無関係の女性を操って質屋に来させるオリジナルエピソードと、白夜さんが時を食らう妖であることを明らかにするエピソードも組み込まれています。 白夜さんが時を舐める&人を舐めないと亡き妻に約束している&妖怪は約束を破ると変質するという話は、天使と見まごう美形の鵺相手ではなく、悪女に騙された朴訥で一途なカマイタチさんで語られました。宗教画のようなキスシーンもなく、ほっぺたペロリでさっくりと(笑) そして黄龍が「人を舐めるのは駄目でも、キスならOKなんじゃ」と提案する場面は出てきませんでした。あの発想こそ黄龍の真骨頂だと思うので、ぜひ今後いつか採用して欲しいところなんですが……
あと原作と大きく異なったのは、プリンスが黄龍に「死者を蘇らせたいと思わないか」と誘惑をかけるところでしょうか。原作のプリンスは、黄龍に関してはほとんどアウトオブ眼中でしたからねえ。でもこれはこれでありうる展開かと。彼だって誰よりも大切な人を失ってきている訳ですから、その誘惑は強烈に違いありません。あとマンガ版は原作よりも白夜さんの出番が少ない分、そこらへんのエピソードが黄龍に振り分けられているのかもですね。
最終ページ、地下室で死体を見つけて平静を失う黄龍の表情ときたら、くっそう、ここで以下続く!? と歯噛みすること請け合いの場面。 それでも喚き散らすことなく、感情をフラットに保とうとする黄龍(そしてそれを台無しにする凍雨)が見どころなこの続き、どのように描かれるのかが楽しみですねvv
……ただこのコミカライズは、ほんっとーーーーに、原作小説を読んでいないと、内容がさっぱり判らないだろうという難点があります(苦笑) なんというか、原作再構成系の二次創作的な? だいたい黄龍がなぜ凍雨に従っているのか、そも結晶とはなんなのか、この作品世界における『魂』のあり方とはとか、黄龍がなぜ人魚刀の持ち主なのか、そう言う基本的な情報の説明が、致命的に足りていないんですよ。 事実、原作未読の母に貸してみたら「意味が判らない」と言って、さっさと返してきました。 それに内容もかなり改変やエピソードの統合、省略が多いので、やっぱりこれは「原作の好きな人が二次創作として楽しむもの」という感覚で読むのが良いと思います。最初から同人誌だと思えば、クォリティも高いし値段も安いですからね(笑)
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No.6676
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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