2015年03月07日の読書
2015年03月07日(Sat)
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本日の初読図書: 江戸が終わり、明治の世になって五年。 たとえ文明開化と世間が騒いでも、妖怪たちが消えることはない。その夜も東京上空を練り歩いていた百鬼夜行の中から、一人の妖怪 ―― 小春がこぼれ落ちた。すすき色に黒と茶の混じったまだらの髪を持つ子供の姿をした彼は、古道具屋を営む長屋の裏庭へと落っこちる。 古道具屋の主は、人間のくせに地獄の悪鬼を思わせる強面の青年、喜蔵だった。「百鬼夜行からはぐれた鬼だ」と主張し、夜行に戻るために力を貸せ、飯を食わせろと図々しく主張する小春に対し、恐れる様子もなく冷ややかな目を向けながらも、なし崩しに居候を許す。 喜蔵は人嫌いで、誰も信用していないらしい。どうやら過去に親族や友人から裏切られたためらしい。 ところが夜行の手掛かりを求める小春に振り回されて、妖怪関係のいざこざに首を突っ込むうちに、否応なしに人との関わりを持つ羽目になって……
積読を片付けよう月間に突入してはや一月あまり。ようやく手を伸ばしたこれは、どうやら三年半ほど積んでたらしい一冊です(苦笑) 確かしゃばけシリーズを買った時に、よく一緒に購入されている商品として表示されたんじゃなかったかな。 どうやらシリーズとして長く続いているようですが、これ一冊でもキリ良く話が終わっているので、お試しで一巻だけ読んでみるのもありかと思います。 あらすじだけ読むと、近頃はやりの人間と妖怪の謎解きバディものっぽいですが、この二人の間には信頼関係ってものがほとんどないあたりがいっぷう変わってます(笑) 人も妖怪も、どちらも同じように信用しないが故に平等に邪険にする喜蔵と、妖怪であることにこだわりを持つが故に、人を化かして怖がらせることを楽しむ小春。 さまざまな事件に関わりつつ、そんな二人の過去が少しずつ紐解かれてゆく。そしてなんだかんだで行動を共にするうちに、凝り固まっていた喜蔵の心がほんの少しほどけ、行くべき道に迷いかけていた小春が改めて未来を見つめ直す。文明開化というその時代に合わせた、これは一人の人間と妖怪の再生のお話だったのかな、と思いました。
ただなあ……うーん、なんだろう。 個人的にちょっと、私には合わなかった、かな。あくまで好みの問題なんですが。 どうも各キャラクターの個性が掴みにくいというか、ブレ気味というか。そもそもこの話は小春視点で読むべきなのか、喜蔵視点で読むべきなのか。中途半端に両者の内面を語るのではなく、どちらかに絞ってくれたほうがもうちょっと感情移入しやすかったと思います。 そもそも喜蔵に祟ろうとする妖怪がこぞって不幸な目に合ってきた理由が明らかになってないとか、面白がって意味もなくいろんな設定足したんじゃないかという疑惑がね……
あとところどころ、首を傾げるような文章表現が混じっていて、お話に集中しきれなかったのも原因のひとつかもしれません。これ文章の意味が逆なんじゃとか、これはいったい誰の動作だ? と思って二度三度読み返すことがしばしばありました。一箇所だけですが、フォントサイズが大きくなってるのもちょっと興を削ぐところ。 とはいえこの作者さんはこれがデビュー作らしく、その後たくさんいろいろ書いてらっしゃるようですし、そのあたりは改善されていってるのかも?
あるいはこの話は、文章で読むよりマンガ版のほうが楽しめるかもしれないと思いました。 ちなみにマンガ版はこちら。
妖怪よりも妖怪らしい強面の喜蔵さんと、可愛い顔して実はけっこう強いにゃんこ属性の鬼っ子小春。なるほど、こういう外見だと思うとイメージが膨らみますね(笑)
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No.6642
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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