2015年03月01日の読書
2015年03月01日(Sun)
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本日の初読図書: レティーツィアの侍女候補となった王立騎士学校に通うアイリーチェには、9歳年上の恋人がいる。 もともと一桁年齢の少女しか愛せないという特殊な性癖の持ち主であった彼、オルランディ伯爵家のウィラードが、14歳のアイリーチェを恋人に選んだのは周囲をおおいに驚かせたものである。 二人の出会いは偶然から。しかし偶然も四度重なれば運命となる。 とは言え最初は打算の付き合いであった。いい加減、結婚して子供を作れとせっつかれるのに困ったウィラードと、踊り子上がりの異国の孤児で奨学金だけでは生活費が足りないアイリーチェ。お互いの利害が一致して、アイリーチェが卒業するまで期間限定の偽装恋人を演じるという契約で始まった関係だった。しかし手紙のやり取りやデートのふりを重ねるうちに、互いの互いに対する気持ちがじょじょに変化していって…… 初々しい二人の恋物語「葡萄姫の恋愛未満」をメインにした、恋愛をテーマにした短篇集。
通し巻数が振られていないうえ、途中でCD付特装版とかまで挟まっててややこしいこのシリーズ。刊行順番と作中時系列は10冊目、9.5巻と表現するのが妥当でしょうか。 番外短篇集と銘打たれていますが、本文280Pぐらいのうち210Pが、8巻「伯爵の切り札」で登場した葡萄色の髪の騎士見習いアイリーチェと真性ロリコン騎士ウィラードとの、出会いから始まる恋物語に費やされております。 本編ではまだあんまり活躍のないアイリーチェも、今回は主役でしっかり内面まで描写されていました。彼女が一見素っ気なく見えるのは、そういう性格だというのもあるけれど、母国語がソルヴェール語ではないせいもあったんですねえ。なるほど納得です。 そしてこのシリーズは、女性が本当に格好良い! レティも見事な『女王様』ですけれど、アイリーチェも幼い見た目とは裏腹に、自分の意志と努力で未来を切り開く男前な少女でした。 ウィラードの命を自分の手で救いたいからと、剣を持って戦いに行くことを選択する彼女は、立派な『騎士』でしょう。 ……ってか、ウィラードは完全に「貴族という身分だけで騎士を名乗ってる弱い男」だから「自分が守る」とリーチェに認識されてますけど、その誤解は解けたんでしょうか。……ってか、誤解だよね? 文官的な能力以外も、それなりにちゃんと備えてるよね??
ウィラードがノータッチ! な紳士なことと、まだ恋を知ったばかりの十四歳のカップルですから、そのお付き合いが実にスマートかつ初々しいものになってるのも良かったです。 今どき素であーーーん止まりとかvv 逆に新鮮で微笑ましいわ! 爆発しろ!!>ウィラード
ちょっと意外な展開を見せたのは、銀狼公アウグストのお話。 四人の妻たちとの関係がビジネスライクなのは判ってましたが、私はてっきり彼ってなんだかんだ言ってレテを……だと思ってたんですよ。でも今回のデュークの解釈を読んで、ああなるほどとすごく納得できました。
アストリッドのお話は、まあこういう感じでしょう。 むしろレティの妹姫が、やっぱり男前で格好良かったです。
最後の話では、レティがデュークを見初めた経緯が回想シーンとして語られていましたが、そこに恋愛感情がまったく挟まれていないあたり、本編から完全に切り離されたお遊び番外という感じでした。いくら手が空いたからって、レティが本気でああいう時間の使い方をするとは思えませんし。何かの企画で書かれた短編だったのかな?
ともあれ、レティに恋愛が絡むのは複雑な気分になる私でも、これは充分楽しく読めました。読まなくてもストーリー上ほとんど支障ない巻ですけど、読んでおくと本編がよりいっそう面白くなるんじゃないかと思います。
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No.6626
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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