2015年02月20日の読書
2015年02月20日(Fri)
|
|
|
本日の初読図書: 立て続けに起きた事件がようやく一段落ついて、手が空いた時間をレティは新たなナイツオブラウンドの獲得に当てることにした。 第六席と七席にと目をつけているのは、広い人脈と高い処理能力で政治的な実務を任せることができる人材。一人はグイード派の貴族で、レティとは以前から慈善事業で交流のある女伯爵マリアンネ・バッセル。もう一人はフリートヘルム派の有能な王立騎士だが、年齢が一桁の幼女にしか興味を持てないという特殊嗜好の持ち主ウィラード・オルランディ。どちらもこれまでに比較的良い関係を築いてきており、勧誘はスムーズに行くと予測していた。 ところが実際に話を切り出してみると、マリアンネは「個人的な事情で」ときっぱり断り、ウィラードに至っては「忙しいから」と面会すらできない始末。 しかし改めて二人の身辺を調査し直し始めた矢先、それぞれから別々に申し出があった。ある願いを叶えてくれたなら、自分達はあなたの騎士になると言う。そしてその内容はどちらも同じだった。 いわく、現在国家を上げて進めている大規模な人身売買組織の摘発計画において、囮として組織に捕らえられオークションに掛けられる少女を、確実に競り落として欲しいのだ、と。 彼女 ―― アイリーチェは、平民出身の孤児だったが、現在はマリアンネの紹介で王立騎士学校に入学しており、有事の際には騎士に準ずる行動を求められる身分である。そしてその珍しい容貌と美しさから、確実にオークションの目玉商品になると判断され、囮役を命じられたのだった。しかしウィラードは彼女を愛しているという。『あの』ウィラードが九歳差とはいえ年齢二桁の少女に恋をするなど、二度とないことだろう。 もしも組織の摘発に失敗したならば、誰ともしれぬ相手に買われる彼女に未来はない。二人はアイリーチェの安全を確保するために、なんとしても彼女を買い取って欲しいというのである。 しかしオークションに参加できるのは、何年もかけて組織に食い込み、顧客としての信頼を得たマリアンネだけであった。彼女の協力があればレティだけは何とか潜り込めるかもしれないが、護衛の騎士は一人も連れていけない。 さらにマリアンネの方は、ただかつて世話した可哀想な少女を救うというだけでなく、他に何らかの目的を隠しているようで。 たった一人の騎士見習いを救うために、次期女王が危険に身を晒す訳にはいかなかった。それに王女が人身売買行為の顧客だなどという噂でも流れた日には、レティは王位継承権自体を返上する羽目になるだろう。彼女が独立して動くことで、摘発計画そのものを阻害してしまうことも考えられた。 危険とデメリットばかりの願いであったが、しかし騎士として手に入れたい二人に対し、この上なく高く恩を売りつけるチャンスでもある。 銀狼公を除く四人のナイツオブラウンド達とレティは、それぞれの視点と考え方から、どうするべきかを検討していって ――
シリーズ8作目はようやく舞台を国内に戻したと思ったら、今度は国を股にかけた人身売買組織を相手に南のナパニア国まで足を運ぶ展開となります。 ……地図が三巻目にしかついてないのが惜しまれますね……そんなにページ数がギリギリなのか!?
そして表紙を見て期待していた通り、今回は女性騎士とウィラード獲得回でした。 ウィラードはねえ、初登場時から良い味出していると思っていたのですよ★ っていうか、フリートヘルム派なのに肝心の兄王子と仲が良くないのって、もしかしてレティが8歳の時に「姫の騎士になりたい」って言ったのを、可愛い妹をロリコン趣味の餌食にしてたまるかとか思われて、そんで毛嫌いされたんじゃないのか(笑) 兄馬鹿といえば、グイードもなんだかんだで着々と過保護さを育てているようで。万一アウグストがレティに良からぬことを仕掛けた時には……と、架空かつ超実践的なノーザルツ公国侵攻計画を練り上げちゃうあたりにニヤニヤが止まりませんvv
デューク達ナイツオブラウンドも、だんだんそれぞれの役割分担ができてきましたね。 レティと同じ王族として、上に立つ者の視点で意見を言うシェラン。 絶対的な信頼を持って、全力でレティを支援するアストリッド。 時に迷いがちな若人を、大人の経験で後押しするクレイグ。 そして遠慮会釈なく問題点を洗い出し、計画の最終チェックを担うデューク。 四人が見事に噛み合って、レティを支えていく様子が気持ち良いです。
そして前巻から前面に出てきた恋愛パートについては……ううむ(苦笑) 今のところレティにまったくその気がないというか、ああ、そう考えた挙句にそっちに行っちゃうんだ、と。恋愛展開はあまり歓迎していない私から見ても、さすがにデュークが気の毒な気がしなくもなく(^ー^;;) とは言え現在の彼女は結婚すら政略のカードとしか考えておらず、そこに恋愛を差し挟む気は全くないのに、デュークのためであればその切り札すら切ることを辞さないというのは、やはり彼のことを特別に思っているからだと言うのは確かなんですよねえ。 ただその切る方向が、ああレティだなあと言うしかないというか。 どうも次の巻では、そのあたりがメインになってくるっぽいので、そちらも早く読んでみたく。
|
No.6609
(読書)
|
|
|
|
この記事へのコメント
|
paoまま
2015/02/21/10:21:03 [HOME]
|
おはようございます。 今から田舎に行くデスじぇ。 田舎に行く前にちょこっと覗いたら、このシリーズについての記事がUPされとったでござるよん。
着々とおこぼれ姫シリーズを読み進めていらっしゃいますね。 おこぼれ姫お気に入りましたですか? これはFTと言っても、舞台を中世ヨーロッパにおいた、 「もしもこんな国があったらならば」的小説なのでしょうか。
わたしはさぁ・・・「全てがFになる」気に入りましたよー! 結局「冷たい密室〜」からじゃなく、「F」から読み始めたのですが、おもろいねーコレ。 まこっちゃんも言っておられましたが、「F」が書かれたのは1998年頃だったろうに、なんなんこの前衛具合はっ。
2015年の私が読むからこだわりなく読めておりますが、出版当時だったら書いてある単語に詰まりまくっていたと思います。
まこっちゃんおせーてくれて有難うございますね〜
|
No.6610
|
神崎真
2015/02/23/17:40:03
|
いいなーいいなーー、ままさん、「F」だけでなく「冷たい密室〜」も読めるなんて〜〜 私も改めてシリーズを読み返したいんですけど、図書館にないんだもんなあ(しょぼん) ちなみにおぼろな記憶の中で、個人的に一番好みだったのは「封印再度」だった気がします。タイトルの格好良さやトリックもさることながら、犀川先生の見事な騙されっぷりがですね(くくく) 犀川先生は、西之園くんがいるからこそ、真賀田博士にならなかったんじゃないかなあとか思ってます。
> 2015年の私が読むからこだわりなく読めておりますが、出版当時だったら書いてある単語に詰まりまくっていたと思います。
私がまさにそれでした(うんうん) 当時はパソコンこそ使っていた……とは思うんですが、ネットはまだやったことなかったですし、エクセル関数もせいぜいSUMが使えたかどうか。そんな状態であの「F」を理解するのはとうてい無理ですよね。印象に残っていたのはワゴンに乗るウェディングドレス姿の死体という、オドロオドロしい場面ぐらいでした。今になって読み返して、どれだけ時代を先取りした話だったかと、しみじみ感心させられます。 これって、劇場版アニメ「パトレイバー」でも、似たようなこと思ったっけなあ。
> おこぼれ姫お気に入りましたですか?
ええ、なんというかもう、読み始めたら止まらなくなっちゃってvv 1〜2巻なんて、購入してから二年ぐらい放置してたのに、何だこの面白さは! どうしてもっと早く読み始めなかった自分!! って感じで続刊を買いあさっています。 内容としては、根底にはかなりがっつりFT要素が存在していますね。なにしろ主人公が「元は神だった建国王」の生まれ変わりで、夢の中で代々の生まれ変わりの王達と会話とかできますし、不思議な能力もしっかり持ち合わせていますから。 でも、大事なのは不思議な力を駆使することではなく、人が人として互いに話しあい、協力しあい、時には権謀術策を交えてぶつかり合いながらも今を生きていく、という点を重視しているあたり「もしもこんな国が〜」的な小説だといえるかもしれません。 そしていろんなタイプのイケメンを次々と攻略していくという点では、乙ゲーとかいうものっぽい要素もあるのかもvv
|
No.6611
|
|
|
|
この記事のトラックバックURL
|
https://plant.mints.ne.jp/sfs6_diary/sfs6_diary_tb.cgi/201502206609
|
|
|
|
プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
|
|
|