よしなしことを、日々徒然に……
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 2015年02月04日の読書
2015年02月04日(Wed) 
本日の初読図書:
4125012318裏切りの杯を干して 下 - バンダル・アード=ケナード (C・NOVELSファンタジア)
駒崎 優 ひたき
中央公論新社 2012-12-18

by G-Tools
これまで睨み合うだけだったガルヴォの兵達が、濃い朝霧の向こうから不意を打って攻めてきた。とっさに対応できたのは、三つの傭兵隊とフレイヴン指揮下の兵達のみ。しかしガルヴォ軍の統率は全く取れておらず、霧が晴れたあとに残されていたのは、逃げ遅れたガルヴォ兵の死体と、そして放棄された野営地ばかりだった。
そしてガルヴォ軍が敗走したのは良かったが、戦闘のどさくさに紛れて肝心の人質までもが消えてしまった。
本国にすら隠していた手柄への切り札を失った総司令官は、司令官達の満場一致で任を解かれ、病になったとして前線から外される。そうしてこの戦場はエンレイズ軍の勝利とみなされ、砦を築くべく後方の兵站の町ストリーへと、物資の補給を要求することが決まった。
解任された元総司令官の護送と物資の手配には、フレイヴンの部隊とバンダル・アード=ケナードが当たることとなる。が、シャリースは会議の場で爆弾発言をした。
行方不明になったガルヴォ人の高貴な捕虜は、現在バンダル・アード=ケナードが確保していると言い放ったのだ。かの捕虜が存在していたからこそ、戦場は無駄な膠着を続けていた。だからその捕虜をいなかったことにしたのだと。
そう告げることでシャリースは、あの捕虜をひそかに暗殺しようとした、ガルヴォに通じている裏切り者を炙り出そうとしたのである。
一方で、ガルヴォ軍側でなんとか捕虜を救出しようと画策していた政治家ビジュもまた、味方のはずのガルヴォ兵から暗殺されそうになり、傭兵隊を雇って九死に一生を得ていた。その傭兵隊は暗殺の黒幕を探るべく、仲間をモルダー首都に潜む暗殺指示の手紙を仲介していた男の元へ送り込む。その男はエンレイズ人だったが、中立国であるモルダーに拠点を置くことで、エンレイズの軍需物資をガルヴォへ横流ししていたのである。
また兵站の町ストリーでは、ヴァルベイドがアランデイルの手を借りて、殺人事件の謎を追い続けていた。
怪しい人物は幾人も存在したが、中でも殺されたミラスティンの片腕と目されていた男ランブは、主の突然の死によってその権力に陰りが見えているらしく、焦りを募らせているのがうかがえた。
そして戦争が終わったことで、驚きの事実が明らかになる。バンダル・アード=ケナードの本当の雇い主は、フレイヴンではなくそのランブであったのだという。
彼はつい最近その存在を知った、自分の隠し子である一兵卒スターグを、秘密裏に護衛して無事戦場から連れ帰って欲しいと依頼していたそうで……

下巻読了。
相変わらず、あっちこっちで錯綜していた情報が、終わりに向けて一気に収束していくのが気持ち良いですね。
なるほど、それがそこに収まって、こう来るからあそこがああだったのね、と疑問に思っていたところがどんどん片付いていくのが下巻の醍醐味です。
そしてアランデイルは「やっぱり」だった(笑)
スターグも案の定、キーキャラでしたね。いやうん、やっぱり不自然だと思ったんですよ。バンダル・アード=ケナードが、ずっと部外者の一兵卒を構いっぱなしというのが。

タイトルの「裏切りの杯を干して」という意味は、最後まで読むとズンと心に響きます。
ああ、だからこそ今回の表紙は、この二人がチョイスされたのか……と。
いやもう、表紙左の黒髪を後ろで束ねた彼とかね、もうね、びっくりな展開で。読んでいて「えええ、なんでこの人が!?」って思ったんですよ。いやはや、最後の傭兵隊二つの対峙はさすがの迫力でした。
戦場で仲間を失うのと、そうでない時というのは、やっぱり重みが違うんでしょうね。今回はアランデイルの件もあって、バンダルはひとつの大きな家族のようなものだと、繰り返し強調されてましたし。

そしてシャリースを嫌いながらもエルディルを良い感じに扱っていた、平民出身の叩き上げ司令官フレイヴンさんには、できればまた再登場を願いたいところです。なんだかんだで頭の回転も良いですし、これぐらい実力もあって気が強い方が、シャリースたちとはうまくやっていけると思うんだvv
……っていうか、そもそものヴァルベイド先生がうまく付き合え過ぎなのか(苦笑)
ああ、なんかシリーズの頭からもう一度読み返したくなってきたなあ……

……とか思って、この記事を書いたあとで第一部三冊を改めてめくり返してみたのですが。
え、あれ……? 「表紙左の黒髪を後ろで束ねた彼」と、正面の灰色頭のガルヴォ傭兵隊長って、第一部でさんざんやりあった、あの傭兵隊だったの!? 全っ然気付かずに読んでましたよ(汗)
道理で表紙やら挿絵で、やけにしっかりしたキャラデザで描かれてると思ったはずです。
……前々回のゼーリックの時もそうでしたが、本当に展開が容赦ねえな、駒崎先生……
No.6570 (読書)

 
 この記事へのコメント
 
paoまま  2015/02/05/15:57:36 [HOME]
まこっちゃんっ、来た来た来たよ〜キタキタよ〜
騙王がっ!
ほうほう、なるほどカバーの絵が謀王と騙王で違ってるですね。
こういうシリーズものは同じイラストレーターさんとか、挿絵画家さんで統一されているものなのかと思っておりましたが、ちゃうのですね。

ああ、確かに騙王の絵の方が作品に重みを与えておるザンスよ。
ちょっと油絵っぽくて、私もこっちの方が好みです。
影と金色というか光の使い方が良いね。
王家の確執、暗部、血塗られた玉座、を彷彿とさせてくれます。

まだ半分も読んでおらんですが、思うのは・・・
「地図ついてないかね?」
こういう架空の国同士が戦争したりするお話しでは、
「地図 please!」ですよん。

あの「乱世を〜」では、まこっちゃんのお作り下さった地図があったから脳内で国名や戦場が、「モヤ〜」っとせずに凄く生き生きとイメージ出来たのです。

騙王も面白いけれど、地図があったらもっと好きかも。
王宮や離宮の場所とか書いてあるとウレチイなぁ。
これって我儘かしらん。

編集者さんにゆうて下さい、「簡単でいいから地図付けましょう」と。
んでもって人物相関図があったらゆう事ごじゃりませぬ。


 
No.6571
 
神崎真  2015/02/05/20:01:43
おおっ、届きましたか。読み始められましたか!
ね、ね、一巻目のカラー口絵、格好いいですよね!
あの闇に浮かび上がる玉座の質感と、金髪だけが目に入って、顔立ちがはっきりしない描かれ方がいいんですよ。
そしてよーく見ると、左手で摘んでるのが緑色の甘菓子なのがまた、細かくてよろしいのですvv

> こういう架空の国同士が戦争したりするお話しでは、
> 「地図 please!」ですよん。

まったくもって、同意見です。
騙王はまだ、各国の位置関係が比較的シンプルだから良いですが、作品によっては本当に切実に地図が欲しくなります。そして人物相関図。
……実は先日、オリエント急行借りてきた時、違う翻訳者さんのと二冊借りてきて、母はもう一方のを読んだのですよ。
そしたら、私が読んだ奴の方は車両平面図と人物紹介がついていたのに、母が読んだ方にはなかったそうで、読むのがすごく大変だったそうです(苦笑)

ちなみにこの親記事のバンダル・アード=ケナード シリーズには、しっかり地図と人物紹介がついています♪
そしてそれでも再登場していたキーキャラクターに、さっぱり気づいていなかった私って……
 
No.6572

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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