よしなしことを、日々徒然に……
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 2014年12月12日の読書
2014年12月12日(Fri) 
本日の初読図書:
4334925634烏金
西條 奈加
光文社 2007-07

by G-Tools
烏金とは貧乏人が、その日暮らすのに必要な銭を、朝カラスがカアと鳴く時に借りてゆき、夕方カアと鳴く時間に一日の稼ぎの中から利息をつけて返すことから名がついた、その日払いの日銭貸しのことだ。一日一割の利息を払えなければ、元金に追加されて、どんどん借金は膨れ上がる。
江戸は三軒町に住む因業な金貸し婆ことお吟の元へ、浅吉と名乗る若い男がやってきた。田舎から出てきて日雇い仕事をしていたが、先日の火事で焼け出されてしまい、住むところがないと言う。そうして彼は、どうせなら今までしたことがない仕事をやりたいから金貸しの手伝いをさせてくれと、半ば無理矢理に転がり込んだ。
お吟の助手となった浅吉は、焦げ付いた厄介な借金を持つ人々にさまざまな知恵を貸し、新しい働き口を見つけてやったり商売の方法を工夫させることで、見事に貸し倒れ寸前だった借金を回収してゆく。
人当たりの良い笑顔と、親身になって相談に乗ってくれること。そしてマメに気を遣ってくれることなどから、浅吉はだんだん人々の信頼を勝ち取り、客に笑顔で挨拶されるという、いっぷう変わった借金取りになっていった。
しかしそんな浅吉には、大きな秘密があったのだ。
実は彼は、最初からお吟の財産を目当てに近付いたのである。
お吟は溜め込んだ金を、烏のようにどこかへ隠しているはず。それを見つけ出し、丸ごとせしめるのが浅吉の目的だった。返せぬ借金を整理して、首が回らぬ貧乏人たちに生記の道を世話してやるのも、お吟を儲けさせることでいずれは自分の懐に入る金を、少しでも増やしてやりたいがため。
果たして浅吉は、首尾よく大金を手に入れられるのか……?

西条さんの江戸もの。今度は因業(?)な金貸しのお話です。
「お江戸の企業アドバイザー、走る!(坂木司)」なんて解説文に、思わず笑っちゃいましたvv
貧乏浪人には商家の用心棒の口を紹介し、潰れる寸前だった八百屋には、質のいい仕入先や取引先と引きあわせつつ、目玉商品になるよう、やはり身売り目前だった少女の作るめっぽう旨い漬物を店に置かせる。
多重債務に押しつぶされかけていたお武家さまに、借金と現在の資産を残らず書き出させ、不正に多く取られていた利息を洗い出しつつ、利息の多いものから優先して返却させてみたり。
カッパライで食いつないでいた浮浪児達を説き伏せて、元手を貸してやり、稲荷寿司売りを始めさせてみたりと、もはや金貸しというよりコンサルティングな投資家。
すべてが順風満帆に行く訳ではなく、危ない目にも遭うし、計算違いもたくさんある。
お吟さんとの関係だって、元の目的が目的だから、認められてハイおしまい目出度し目出度しではすまないし。
あちこちで裏切られたり、恋に破れたりといろいろあるけれど、それでも最後の最後には、切なくも温かな読後感を味わえました。
一生懸命生きている人には、ちゃんとそれに応じた報いがあるんだよと、そう思えるお話です。

……とか言いつつ、実は読んでて一番ほっこりしたのは、浅吉の相棒で、雛の時から育ててやったカラスの勘左との絆だったりするんですが(笑)

ちなみに浅吉さんが金勘定に強いのは、算学を学んでいたからだと、ちゃんと理由付けができています。
江戸の頃に流行っていた和算って、いま見てもものすごく難しい問題を、計算機もなしに解いちゃうんだから、ほんとにすごいんですよね……

個性的な脇キャラ達の、今後がちょっぴり気になる一冊でした。
No.6422 (読書)

 
 この記事へのコメント
 
paoまま  2014/12/13/10:42:51 [HOME]
>一生懸命生きている人には、ちゃんとそれに応じた報いがあるんだよと
それメチャメチャ大事な点です。
頑張っている人や何かを犠牲にしてきた人が最後まで報われないとへこみます。
浮世は報われない事も多々ありましょうから、せめて小説の中だけは報われて欲しいのですよん。

でもあまりに報われ過ぎると
「こんなん出来過ぎ!」とか「上滑りじゃわ!」ってなってしまうので、そのあんばい加減があるんよね、って思う我儘な読者でございます。

時代小説大好きなのですが、私の好きだった作家さん方が段々彼岸に渡って行かれてしまい、今現在定期的に買っているのは宮部みゆきさんと宮城谷 昌光さんくらいかなぁ。

でもまこっちゃんの本紹介のおかげで広がるかもしれません。
「好みの本が無いなぁ」と言うのはただ単にサボっていただけみたいですね。

まあ確かに昔のように本屋さんを渡り歩いて、本棚の間をなんぼでもウロウロするっちゅうのはしなくなりましたのでね。
自力での新しい出会いはなかりましょうて。

江戸時代の算学は素晴らしい!
てか、江戸時代のニッポン人は素晴らしい!

 
No.6423
 
神崎真  2014/12/14/06:58:39
そうなんですよ〜〜
現実ではどうしたっていろいろとやりきれないことがありますから、せめてお話の世界でぐらい、ご都合主義でも何でも、幸せに気持ちよくなりたいものです。
個人的には、時間かけて読んだのに読後感がどよ〜〜んだと、なんだか時間を損した気になる今日この頃(苦笑)

私が時代小説の楽しみに目覚めたのは、ついこの数年ですので、まだまだ読めていない名作がたくさんあることでしょう。とりあえず、両親のところにある真田太平記とか、時間があったら手を出してみたいものなんですが……ままさんからは、なにかオススメ作品ありますか?
できれば気軽に読めて、キャラクターが格好良くて、そして読後感がスカッとする奴を希望します。

> 本屋さんを渡り歩いて、本棚の間をなんぼでもウロウロするっちゅうのはしなくなりました

ああ、私もです。昔は毎日仕事帰りに、二軒は立ち寄って雑誌を立ち読み。めぼしい作品を見つけては単行本を買ったり、平積みをチェックしていたものですが。最近はめっきりリアル本屋に行かなくなりました。他所様のサイトでの紹介や、 Amazon の「この商品を買った人は、この商品も〜〜」が便りです。
地元近辺の本屋では、品揃えや新刊の入荷数が少ないというのも一因ですかねえ……

江戸時代の算学、「算額」で検索してみると、「こんな問題どうやって解くの??」って難問がゴロゴロ出てきます。
さすがはモノづくり大好き日本人。江戸の昔っから、頭の良い人はものすごく良かったんだなあと、感心しきりなのでした。
 
No.6424

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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