よしなしことを、日々徒然に……
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 2014年11月13日の読書
2014年11月13日(Thr) 
本日の初読図書:
4488427049タルト・タタンの夢 (創元推理文庫)
近藤 史恵
東京創元社 2014-04-28

by G-Tools
下町の一角にある、テーブル五つ、カウンター七席という小さなフレンチレストラン、「悪くないパ・マル」。僕ことギャルソンの高槻智行は、まだ勤め始めたばかりで、仕事に馴れるのに精一杯だ。紅一点のソムリエ金子ゆきや、副料理長の志村洋二とはだいぶ馴染んできたが、料理長のことは未だによく判っていない。フランスのそれも田舎の方を点々として修行してきた彼 三舟忍は、気取らない気軽に楽しめるフランス料理を目指しているらしい。しかし無精髭に長く伸ばしてひとつに束ねた髪の毛、そして無口なその人柄が、いまひとつ彼を近寄り難い存在にしている。
だが三舟のすごいのは、料理の腕ばかりではなかった。ほんの些細な言葉の端々から、訪れる客達が抱える事件やトラブルを見つけ、真相を明らかにする。
美人女優と婚約したばかりの常連客が、その日腹具合を悪くしていたのはなぜか。
あまりにも偏食がひどすぎる男の妻が、まずい料理を作り続けている理由は。
十二年前、志村が初めて焼いたガレット・デ・ロワの中からフェーブが消えた経緯。
突然妻が実家に帰ったという男性客が、犯した失敗とは。
飲酒という不祥事を起こした高校野球児は、どうやって合宿所に酒を持ち込んだのか。
かつての恋人と別れるきっかけとなった、彼が作ってくれた最後のカスレは、どうしてあんなにもまずかったのか。
ベルギーから帰国し、店を開いたばかりのショコラティエ。病気の母を見舞う暇もないという偏屈な彼の作るチョコレートの詰め合わせは、どうしてどれも素数なのか。
様々な謎が、料理をキーワードとして紐解かれてゆく……

250Pにも満たない中に、七本の短編が収録された、気軽にさくさく読んでいけるお話です。
料理長の三舟さんは、フランスで修行中に「三船敏郎の親戚か?」とか「サムライの子孫だ」といった誤解を受けまくったあげく、ならばと武士風の無精髭&長髪のキャラ作りをして新人イジメから逃れちゃった、実はけっこうちゃっかりさん。
お客さんの体調やリクエストに合わせて、見事にメニューをアレンジしてくれる、気の利いたオジサマでもあります。
周囲を固めるキャラクター達もそれなりに個性的で良い味を出しており、一話一話は短くても、しっかり味わい深い仕上がりになっているかと。
……事件の真相は、時に冗談ではすまないような深刻なんじゃね? というものも混じっています。
三舟さん達は、それを本人に知らせることもあれば、知らせないまま『関係者』にのみ話をつけたり、そのまま結末を見ずに成り行きに任せる場合もあります。あまり踏み込みすぎないところが、お店とお客というスタンスを表しているように思えました。
時にデリカシーがなさすぎるのではないかというほど、関係者の内面にズカズカ入り込んでいくことの多いミステリーものとしては、少々異色かもしれませんね。
個人的には、最後に載っていた「割り切れないチョコレート」が好きです。偏屈なショコラティエさんの、内面に溢れる母親への思いが切ない…… そしてなんとなく彼の外見イメージが、ドラマSTの池田管理官になっている私(苦笑)

ただ難点がひとつ。読み流せば良いと言えば良いんですが、フランス料理の名前や用語がガンガン出てきます。後から説明がある場合もあれば、そのまま普通に流される場合もあって、途中で何度も読むのを中断して調べる羽目になりました。
フランス料理なんてお洒落なもんに、縁はないんだよ、コンチクショウ><

ともあれこれも二巻目があるらしいので、借り出し候補に追加しました。
No.6362 (読書)

 
 この記事へのコメント
 
paoまま  2014/11/18/11:51:20 [HOME]
まこっちゃんお久しぶりです、無事に帰って参りましたよん。

あらまたまた食べ物系を絡めた小説ですか。
いつもながら見事な解説ですね。
なにが見事かって言ったら、そりゃあ人をそそるのが(笑)
フレンチかぁ〜
なんだかまともなフレンチって随分食べてないし、下手すりゃ最後に食べたフレンチって結婚式の披露宴のフレンチだったりするよん。
今時の披露宴ってお料理がちゃんと美味しいんだよね、私がした頃とは全然違ってさ。

あー、この本も面白そうですね〜
私もまこっちゃんを見習って図書館なるものに行ってみようかしら。
(どこにあるんだ?広島市の図書館は?)

有難うまこっちゃん、わたし好みの本を紹介してくれて。
脳天気なわたしは、まこっちゃんが私の好きそうな本について書いてくれると、
「あら、私の為に読んでくれたのかしら」
と、勝手に解釈して嬉しがっております。
全然私のテリトリーでない本にしても
「私の世界を拡げようとしてくれよってんかね」
と、何でも自分の良い様に解釈しているのでする。

これからも本の紹介をよろしくお願いしますデス。
 
No.6370
 
神崎真  2014/11/18/21:59:10
お疲れ様でした、ままさん。
フェリーは波が荒かったそうで、大変でしたね。私は船に弱いので、想像するだけで身震いしてしまいます。

さて、今回も初めて見る作者さんをジャケ読みしてみました。
最近お料理関係のお話が増えてきている気がするのは何故でしょう?
まともなフレンチ……まだ学生だった頃、父の仕事の付き合いでディナーショーについて行った、あれはフランス料理だったのかなあ(笑)
なにはともあれ、読んでいて用語が判らなくてまいりました。
『食事の後にフロマージュ、そして、その後にデセールというのが一般的』とか『鵞鳥のコンフィのカスレ? 鴨のコンフィならともかく、鵞鳥のコンフィなどメニューに載ったことはない』とか、読んでいて(?_?)でしたよ。まあそのあたりはまだ、読み進めていったら後で説明がありましたけど。
一話ごとのページ数が少なく、人間関係にも深く踏み込んでいかないので、さくさく読めるのはありがたかったです。マンガにもなってるみたいですし、それなりに人気作品みたいですね。

> 「あら、私の為に読んでくれたのかしら」
> 「私の世界を拡げようとしてくれよってんかね」
うふふ、私の紹介が新たな読者を増やす結果になれたなら、それ以上はありませんvv
人と同じ作品を読んで、あそこがこうだった、ここがああだったとおしゃべりするのも、読書の醍醐味ですよね。
ままさんも図書館へGOGO!!
広島市の図書館って、きっとこっちよりずーーーーっと蔵書が充実してるんだろうなあ(羨)
最寄り図書館に「すべてがFになる」シリーズが揃っていなくて、ちょっぴりしょぼんな今日この頃なのでした。
 
No.6372
 
ちなつとも  2014/11/19/09:02:54
ドラマの「すべてがFになる」見てるすけど。
武井咲の演じるあの人は、原作でもあんなカンジっすかね。あのタイプは、見ていてイラッとするっす。
首を傾げつつも次回予告がいつも面白そうなんで思わず見ちゃうっすけど。
んむむむむむ……自分的には、ハズレじゃないけどアタリでもないすかね。
でも、きっと5話以降も見るっすよ!
だって気になんじゃん!?
 
No.6375
 
神崎真  2014/11/19/22:32:05
あー、西之園くんな<武井咲
私も読んだのかなり昔に一度だけなんで記憶があんまり定かではないんだが、確か原作でもあんな感じだった(苦笑)
数学的脳味噌はあるんだが、人の心の機微には疎くって、あと犀川先生ラヴが最優先。むしろ突き抜けたそれが個性になってるというタイプだったような気がするので、ワタシ的には武井咲のあれはアリだ。むしろウザくないモエちゃんはモエちゃんじゃない(笑)
原作を読んではいるけれど、過剰に思い入れのない私にとっては、ドラマ版けっこう面白いよ。少なくとも今のところは。
一番とっつきにくかった1作目を、5〜6話目に持ってきたのも正解だと思う。
マガタ博士の事件は、ほんとに原作があんまりとっつきにくくて、完全にトリックとか忘れてるから素直に来週が楽しみだよ。
綾野剛の髭面もイイネ★
 
No.6377

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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