2014年08月07日の読書
2014年08月07日(Thr)
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本日の初読図書: 「休暇だと思って楽しみます。(小説家になろう)」〜52:引くほど抜けた http://ncode.syosetu.com/n5128by/
若くして公爵家を継ぎ、大国の国王の側近として宰相の地位にある青年、リゼル。いつものように王城の執務室で政務を取っていたはずの彼は、気が付くとまったく見知らぬ世界の路地裏にいた。 (言語が共通、貨幣は違う、取り合えず貨幣価値は……やっぱり少し目立つな) 怖いほどの冷静さ、と元教え子(※国王)に評される彼は、そんな状況でも動揺することなく、周囲から次々と情報を取り込んでゆく。 しかし悪目立ちする豪華な上着を脱いでも、彼は見るからに上流階級以外の何者でもなかった。 周囲からは貴族のお忍びだろうと思われつつ、腰に下げていた儀礼用の剣を売って当座の資金 ―― というにはいささか高額だったが ―― と、自分の世界には存在しなかった空間魔法のかかったカバンを入手した彼は、さらなる情報を得ようと手頃な人物を探し始める。 (出来ればどの国にも所属していない方が良い、考えは片寄らない方が良いし) (変な主張は持ってないけど自分の考えは持っていて、正義感なんて持っていなくても最低限の道徳は守れる人で、駆け引き上手な人) (あ、それと出来れば) そんなことを考えながら裏路地へと足を向けていたリゼルを、見るからにガラの悪い男が呼び止める。 長身で顔立ちは整っているが、端正な姿を台無しにするほどにガラが悪い。風体からするに、どうやら元の世界にはいなかった冒険者という存在のようだ。 男はしばらく彼を見ていたが、やがて短く告げる。 「タチ悪いのがいる、止めとけ」 その言葉に、リゼルは柔らかく微笑んだ。 (少し世話焼きだと、やりやすい) 紆余曲折の末、その男 ―― ソロBランクという凄腕冒険者ジルを、リゼルはひとまず一ヶ月ほど雇うことになった。 その目的は、観光案内と護衛と、そして駆け出し冒険者の付き添い。 自力で元の世界に戻るのは不可能だが、転移魔法の使い手である元教え子(※国王)が、何とでもしてくれるはずだ。ならば自分は迎えが来るまで、休暇だと思って未知の世界を存分に楽しもう。この世界に自分の身元を証明するものはなにもないので、なるなら推薦者さえあれば登録できる冒険者だろう、と。 かくして誰とも組まない孤高のBランク、“一刀”のジルと共に冒険者を始めたリゼルだったが、その活動ぶりはどこまでも周囲を振り回す、破天荒なものとなって ――
異世界から異世界へトリップした、ハイスペックな貴族中の貴族が、人間を越えたハイスペックな剣士や、暗殺者上がりのギルド職員などをたらしこみつつ色々やらかすお話。連載中。 貴族にしか見えず冒険者と名乗ると必ず二度見されてしまうけれど、基本的に普段は穏やかで清廉潔白っぽく、気さくでちょっと天然なリゼル。しかし実際には、気に入った相手以外は笑顔のままあっさり切り捨ててしまえるあたり、紛れもなく人の上に立ってきた人物です。 でもって、次々と癖のあるハイスペックな人々をタラしていくあたりがもうvv 特にジルがね、もうね、保護者で従者で、でも対等な友情でもあって、なおかつ唯一絶対とか、どんだけ美味しい関係なんだか。
紹介文いわく「男ばかりの友愛。濃い友情。恋愛感情はないからBLじゃないと言い張る必要がある程度にはそれっぽい描写があるので苦手な人はお控え下さい」とのこと。 確かにやたらと年少組(それでも二十歳ぐらい)の頭を撫でたり頬を撫でたりしていますが、あくまで友情止まりです。この絶妙な匙加減がまた、たまらない……っっ(>▽<)
普通ならAランク5人パーティーで勝率五分の迷宮ボスを、暇つぶし&鍛錬代わりに一人で倒しに行く常識はずれのBランクソロのおかげで、「自分なんてたいしたことない」と言い張っちゃう、それに付き合って無傷で帰ってこられるリゼルさんマジ有能。高度な魔法の脳内並立処理を、無駄に活用してるあたりも楽しいです。
ただ心配なのは、こんなにいろんな人達をタラしこんでおいて、本人元の世界に帰る時にどうするつもりなんだろう、というのが……作者様はハッピーエンドにするとおっしゃっておられるので、ある程度は安心していいのか。せめて、せめてジルと元お頭ぐらいは連れてってあげて欲しいんですが…… それとも国王様がなんとかして、休日ごとに異世界へ遊びに来るようになったりとかしないかな。 絶対零度はともかく、道具屋とかは、何もかもほっぽってついていく訳にはいかないだろうしなあ……
あ、ちなみに雰囲気のある文章の割に、誤字脱字や日本語の微妙なところが散見されるので、気になる人は要注意。 「ほのほの笑う」とかしょっちゅう出てくるんですが、これツッコミ入れてもいいんだろうか……?
あとは各キャラの外見や服装描写がほとんどないのが惜しまれます。それでもこれだけ雰囲気を感じさせるのだから、たいしたものではありますが。 個人的にリゼルの外見イメージは某デル戦のナシアスっぽく、ジルは遊び心のない仏頂面のイヴンだったりします。スタッドはクラブレの頃のシェラを十八歳ぐらいにした感じかな。
そこそこのペースで更新されていて、一話のボリュームも大きめなのがありがたいですvv
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No.6113
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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