よしなしことを、日々徒然に……
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 2014年03月20日の読書
2014年03月20日(Thr) 
本日の初読図書:
4488493017BG、あるいは死せるカイニス (創元推理文庫)
石持 浅海
東京創元社 2009-10-10

by G-Tools
人類はすべて女性として生まれ、その中でも優秀な個体だけが妊娠、出産を経たのちに男性化する。男性化する比率は環境によって左右され、新生児の死亡率が低い日本では、現在成人の男女比率は1:3だ。そして周囲に自分より弱い個体がいるほど、男性化の確率は高まってゆくとされている。かつては国のトップが自分の子を男性化させるため、身の回りの世話をさせる者に劣った人間を意識して配置したことから、弱い後継者が男性化し、衰退の道を歩む結果になったともいう。男性になった者は世間から優遇され、子孫を残すために複数の妻を持つ。当然、夫を持てずにあぶれる女も多く、そんな女が男性を襲ってレイプするという事件も跡を絶たない。そんな、世界。
平凡な高校生、船津遥には自慢の姉がいた。父が男性化する前に産んだ異母姉で、正確には家族ではなかったけれど、彼女 西野優子と遥は非常に仲良く交流していた。
一学年上の優子はとても優秀で、勉強も運動もよく出来たし、見た目も大柄な美人。学内では男性化候補の筆頭として評判の優等生だった。そんな誰からも憧れの目で見られていた彼女が死体で発見されたのは、星降る夜の学校内だった。天文部の流星群観測会に参加したはずの優子は、暗い裏庭で首を絞められ殺されていたのである。
衣服が半ば脱がされていたことから、一見するとレイプ未遂による殺人かとも思われた。しかし『男』が『女』をレイプするなどという『異常なこと』が、はたして有り得るのだろうか?
大好きな姉の死にショックと犯人に対する怒りを抱く遥だったが、自分にできることなどなにもない。せめて姉をがっかりさせないよう、これからも勉強に励んでしっかり生きていくことだと己に言い聞かせていた。しかし三週間が過ぎ、事件の衝撃も薄れ始めた頃、再び校舎の屋上で生徒が殺される。被害者は遥の友人の宮下小百合。やはり優秀な生徒で、優子の後継者と目されていた存在だった。
同じ天文部の前部長と現部長、そして将来の男性化が確実視されていたことなど、二人の共通点は多い。
相次ぐ姉や友人の死に悲しむ遥らの前に、謎の外国人女性や著名なジャーナリストが姿を現す。彼女らや校長、警察などは、遥に対し口々に「優子から何か聞いていないか」と問いかけてくる。
やがて遥は、生前に優子が漏らしていた言葉を思い出した。
「つまらない男になるぐらいだったら、女のまま恰好よくなりたいね。でも ―― BGなら、話は別かな」
BGとは、男性の中でも特に優秀な者を指す俗語だ。
しかしさまざまな人物から話を聞いてゆくうちに、遥達はBGという存在の真実を知ってゆくこととなる。そうして二人が殺される原因となった理由は、そのBGに深く関わっていて……

男女逆転ものが読みたくなったので、某所で紹介されていた作品に手を出してみました。
男性は、妊娠・出産を経た女性の中でも特に生物学的に優秀な存在だけが性転換して『なる』のが当たり前という、クマノミの逆バージョン的な世界観のお話。でも舞台はちゃんと現代地球。いや現代……より三十年ぐらい前ぐらいを想定しているのかな? 携帯電話もネットも存在しないし、なにより大学入試がセンターではなく共通一次なんですよ。
その理由は、終章を読むと判るような、判らないような(どっちだ)
そんなかなり特殊な社会と、それに伴う不思議な倫理や精神を持つ人々の物語ですが、推理はけっこうまっとうにロジカルな展開を見せます。終盤怒涛のように主役が推理を展開してゆき、物的証拠に弱い面はありますけれど、途中に手掛かりはちゃんと散りばめられています。
……佐々木先生の正体については、あの文言には確かに私も引っかかったけれど、でも最終的な根拠が「彼はまったく嘘をついていない」という前提に基づいているあたり、いささか微妙ではありましたが。
ちなみに私は最初に佐々木先生を疑い、次にかなえちゃんを疑い、最後には美紀ちゃんに到達したりとか(苦笑)<踊らされまくり

すべての人達が、少なくとも子供を生むまでは女性だったという世界観からか、男性教員や刑事と女子高生が普通にレイプだセックスだと、恥じらいもせずに話しているあたり、読む人を選ぶかもしれません。
そもそも男性化したい上昇志向の強い人間は、高校在学中に男性教師と結婚して、大学生で出産 → 男性化するのが当たり前。中には五人の生徒と結婚する羽目になった男性教師もいるという世界観ですからね……まだ結婚という制度が残っているだけマシなのか。

男性になると給料が上がり仕事は楽になりと一見優遇されているようでいて、その実、社会の運営という大事な仕事は女性がしっかりと握っている。男は『生物学的に優秀』なのであって、『人間として優秀』な立場はあくまで女性が独占しているという、特殊な社会を構築する上での歪みも描かれています。

ストーリー的には、推理要素の他にも学園もの、主人公成長もの、甘酸っぱい(?)恋愛要素、SF・FT要素などもあって、なかなか盛り沢山。
特にラストに遥が選んだ道はびっくりしましたね。
え? あれだけ怒ってたのに結局その分野に進んだの?? と思わせておいて、まさかの大どんでん返し。
彼女のやったことについては賛否両論あると思うし、そのせいでまた苦しむ存在がたくさん出てきて大問題を引き起こすと予想できたりもしますが、そんな道をあえて選ぶ彼女は、やっぱり優子さんを恐れさせるだけの『別格』な存在だったんだろうなあと、ちょっとゾクゾクしてしまいました。
No.5693 (読書)

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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