2013年12月04日の読書
2013年12月04日(Wed)
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本日の初読図書: 二巻目読了! これにてこのお話は完結です。 前巻ラストで雪の谷へ閉じこめられた狄雲と血刀僧と水笙。彼らを追ってきた落花流水、四人の豪傑と血刀僧の死闘が繰り広げられる訳ですが……そんな中でもなんとかして犠牲者を減らそうとする善良な狄雲は、相変わらず報われていません(−ー;) 最終的に生き残った豪傑の一人 花鐵幹は、どんどん下劣な本性を現してゆき、食料がない冬山で仲間の死骸をむさぼり喰らい、狄雲と水笙を貶めまくります。そんな中でも誠実さを保つ狄雲に水笙は少しずつ心を開いていくものの、それさえも花鐵幹に利用され、雪山から助けられた水笙は「淫僧に身も心も汚され『情夫可愛さに親を殺させた』恥知らず」として蔑まれる展開に。 ……ふふふ、これでちったぁ狄雲の苦しみが判っただろうと思いつつも、まあ彼女は冬の間に狄雲の足を折ったことをちゃんと気にしたり、周りに罵られながらも狄雲は良い人だと庇ってくれたので、まあ良しとしましょう。 ちなみに彼女の元婚約者である汪嘯風は、颯爽と登場した二枚目剣客のイメージはどこへやら。底の浅さを露呈したあげくに、最後はなにかのついでのように破滅していたのがざまあみろでした(笑) ……ってか作者さん、本当にこの人と花鐵幹についてはページ数が足らなくなって、慌てて末路をつっこんだんじゃなかろうか(苦笑)
雪山から解放された後の狄雲は、半年の強制山籠もりの間に研鑽を積み正邪双方の頂点とも言える武芸を身につけていました。 ……まさかこれで、血塗られた復讐の道を邁進するのか?? とハラハラしていたら、そこはやっぱり狄雲。その頭の中では先立った親友 丁兄を、その恋人と合葬してやることが最優先です。そして次点が師父の無事を確認すること。復讐とか宝の在処を探すこととかは、ほとんど考えていないのが、彼の良いところですね(しみじみ)
それでも多少は空気を読むことを覚え、TPOをわきまえた行動をとれるようになった彼は、少しずつ情報を集めて事の真相に近づいていきます。自分はなぜ陥れられなければなかったのか。仇達が追い求める「連城剣譜」はどこにあるのか。 狄雲の善意の行動と偶然が複雑に重なり入り交じって、仇達はじょじょに破滅への道を邁進していきます。 そう、あくまで狄雲が自らその手を下すのではなく、彼が敷いたレールの上をてめえの意志で突っ走った悪人達が、勝手に殺し合い自滅していくのです。真の復讐モノとはこうでなくては!
最終的には、ただ友の遺言を守ることを最優先にしたその誠実さが、失われた筈の「連城剣譜」を狄雲にもたらし、そして「宝などいらない。ぜんぶ師父にあげます」と言った無欲さが、彼の命を救いました。 どこかの感想サイトで「主人公が最後までモンテ・クリスト伯にならずにダンテスのまま」と書かれていましたが、この話ではまさにその通り、最後まで木訥な善良さを失わなかったことが勝利の鍵でした。 ラストの再会については、いろいろと思う所もないではないですが……まあ『彼女』も、紙面で語られない部分でいろいろ辛酸を舐めたのだろうし、良いとしましょうか<えらそう(苦笑)
ちなみに師妹の方には、どうにも最後まで共感ができませんでした。 狄雲を悪人だと思いながらもそれを逃がしたり、遠くからその幸せを祈りながら、実は夫が無実の彼を陥れた悪人なのだと知ったあともその夫を見捨てられない。見事にどっちつかず。 しまいには三重(狄雲と実父と自分)の仇の実娘を、「自分の娘のように面倒を見て」って押しつけるって……どこまで狄雲を利用するのかと。 いやうん、実際にこういう立場になったら、優柔不断な気持ちになるのは判るんですけどね。ただ物語のヒロインを張るには弱いと感じられます。まあだからこそ、彼女はああいう形になったのでしょうが。
ともあれまあ、1巻で沈んだ気持ちは、ちゃんと払拭されました。うん、これなら面白いです。 特に完全に失われたと思われた「連城剣譜」が、まさかあんな形で手に入るとは。1巻でさりげなく張られていた伏線の妙に、あの場面では思わず唸ってしまいました。 このお話の中で一番純粋だったのは、狄雲よりも霜華お嬢さまだったのかもなあ……
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No.5330
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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