2013年09月21日の読書
2013年09月21日(Sat)
|
|
|
本日の初読図書: 「禿頭組合(近代デジタルライブラリー)」三津木春影 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/906900
「ホシナ大探偵」に引き続き、昨日見つけた大正時代に書かれたシャーロック・ホームズの翻案小説、第二弾。 ※上記URLの、コマ番号 121 からです。 まずは個人的に一二を争う好みの短編「赤毛連盟」を元にしたお話から手をつけてみました。 この作品もまた、ホシナ〜と同様、舞台・人名共に日本のものになっています。
まずホームズさんは上泉博士。今の発音ならさしずめ『こーずみ』でしょうか(笑) このお人、何故かいきなり学校内の一室で依頼を受けています。まわりから先生って呼ばれていますし、どうも教授か何かではないでしょうか。 そしてワトソンさんは中尾医学士です。なんでも上泉博士の直参の高弟だそうで、完全に目下扱いになっています。この翻案では、二人の間にはずいぶんと年齢差がありそうな感じでした。 なにしろ上泉博士の言動が、ところどころやけにジジむさいんですよ。そもそもの一人称が「私(わし)」ですし、中尾君に向かってやたら「〜〜ぢやろう」とか連発してたりしますし。
脇キャラのアレンジも負けてはいません。 依頼人の大津(原作ではウィルソン)さんは、太った若ハゲで、糸織りの羽織に角帯なんかを締めています。完全に日本風のキャラクターですね。
……っていうか、禿頭組合って! いくら日本人に赤毛は不自然だからって、なんでそこで選ぶのが、よりによって若ハゲよ(大爆笑)
全体の流れとか会話文の中身とかは、なまじっか原作の流れを忠実に追っているだけに、そこの所が無性に笑えますvv
他の部分では、たとえば「事件を審判するときの癖で、五本の手の指をピタリとくっつける」とか「煙草を三本吸う間には片が附くと言いつつ、椅子の上で膝を抱える」といった表現もあるんですよ〜〜<忠実 パイプなんだか巻煙草なんだか、ちょっと文章が混乱していたりもしますが。 あと、ちゃんとステッキで土間も叩いてました。
ちなみに番頭(笑)のヴィンセントこと仙吉(本名ジョン・クレイ → 隼の關三)も、「小鼻の上にホクロ」「右頬の耳の下にかすかな火傷痕(子供のころ母親にランプを落とされた)」という、まあ当時の日本にいてもおかしくなさそうな容貌の持ち主になっていました。 「若禿組合」の仕事内容は、まだ活版出版されていない古文書の書写作業と、これまた百科事典を写すよりは馴染みやすく、リアリティもある改変だったんじゃないでしょうか。和綴じで漢文混じりの書籍を原本に、筆と硯(すずり)で作業してましたが(苦笑)
あ、ジョーンズ警部は岩間警部になってました。これは漢字の字面を見ると、むしろガニマールっぽい変名ですね。 そしてシティ&サバーバン銀行と聖ジェイムズ・ホールは、それぞれ帝國銀行と帝劇に。 さらに犯人逮捕の瞬間が「隼の關三、年貢の納め時だ、神妙にしろ!」って叫びながら取り縄をかけるって、一体どこの捕物帖なんだか(笑)
……なんというか、ツッコミどころがありすぎる文章でしたけれど、内容自体はやはり原作に沿っていて、意外なほどにホームズさんらしさを残していました。 うむ、これはアタリを引いたかもvv 三津木さんの翻案はまだまだたくさんあるので、じっくりゆっくり読み進めていきたいと思います。
2014/05/19 追記: 著作権切れに付き、テキスト入力して公開することにしました。 閲覧室の「その他書架」にUPしています。
|
No.5136
(読書)
|
|
|
|
この記事のトラックバックURL
|
https://plant.mints.ne.jp/sfs6_diary/sfs6_diary_tb.cgi/201309215136
|
|
|
|
プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
|
|
|