2013年09月12日の読書
2013年09月12日(Thr)
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本日の初読図書: レアンダール王国で金貸し業を営む、仮面の未亡人リリアナ・マードック。 五十以上も年が離れた老人を誑かし、まんまと後妻の座に入って遺産をせしめたと噂される彼女は、現在非常に困っていた。 十六で結婚し、四年で夫を失い、それからさらに四年。亡き夫の後を継いでこれまで金貸しを続けてきたのだが、本来この国では女性に商業権は認められていない。夫の喪が明けるまでと理由をつけて伸ばし伸ばしにしてきたのだが、もはや猶予は残されていなかった。 早急に結婚するか、せめて婚約者を用意しなければ、マードック商会はやっていけなくなる。確かに暮らしてゆくのに困らない程度の財産は遺されていたが、それでは大事な『目的』を果たすことができないのだ。 おまけに遺産を寄こせと、縁を切ったはずの前妻の娘が何かとちょっかいをかけてくるし、商業権を発行する役人ボイエットは、リリアナを愛人にしたいとの下心からしきりに妨害をしてくる。 そんな折り、リリアナは借金を返せなくなった男爵の元へ物品の差押えに行ったところで、金庫室に監禁されていた少年を発見した。こそ泥だという少年 ―― ジョシュアは十六才。家族はおらず、住むところもない孤児だと言うが、そのふてぶてしい態度をリリアナは気に入った。 「あたくしは『これ』に決めたわ」 忠実な執事にそう告げて、彼女は顔を隠していた仮面を外した。 聞き入れなければ盗人として警吏に引き渡すと脅し、すかし、果ては空涙で罠に嵌めて、リリアナはジョシュアに婚約誓約書のサインをさせる。 ジョシュアは渋々協力するその代わりに、自分が持っていたネックレスをリリアナが身に着けることを要求した。だが……やがてリリアナの命を狙ったと思しき様々なトラブルが、引き寄せられるように起こり始めて ――
脅迫まがいの偽装婚約とか仮面の未亡人とか美形で忠実な執事とか、面白そうなキーワードが取り揃っていたので、初めて見る作家さんでしたが、買ってみました。 実際に読んでみたら、呪いのネックレスとか十六年前の惨劇とか、何度訂正しても「姐さん」と呼んでくる強面の荒くれ男とか、さらに楽しい要素がてんこ盛り(笑) ただ内容は……思っていたよりもライトだったかな? 自分に都合のいい、しがらみも後ろ盾もない孤児を偽装婚約者に据えたはずが、いつの間にか立場がひっくり返っていて、というのはお約束★
しかし強い女性と言うのは、読んでいて気持ちが良いものですね。 「因業な金貸し」「稀代の悪女」「毒婦」と陰口を叩かれながら、それを訂正しようともせず、むしろそんな悪名をも利用して、自らの目的へと邁進していく姿はあっぱれの一言。 またその「目的」の内容が泣かせるんですよ…… あとは絶対的な味方であり、言いたいことを言い合いながらも強い絆で結ばれている執事(年齢不詳の美形)というのもツボにはまりますねvv 負傷につき中途退場してしまったのが、非常に惜しまれる…… ジョシュアも、十六才という年齢にしてはかーなーり、優良物件だと思います。最後はしっかり良いところかっさらって行っちゃったし。決めるところは決めるあたりイイ男かと。 ……でも個人的に男は二十代半ば以上、できれば三十超。四十を過ぎているとなお嬉しいという性分なので、やっぱり私の目にも仔犬ちゃんに見えちゃうんだよ、ゴメンね(苦笑)
ところでコルセットのシーン、挿し絵があるからそうだと判るけれど、本文中では結局オチがついてないような気がするのは、私だけでしょうか……?
そしてタイトルに巻数ついてませんが、終わってません(苦笑) 謎はいろいろ残りまくって、二巻目以降に持ち越されている部分がけっこうあります。でもまあ、ある程度の区切りはついているので、あとは自由に想像して楽しむのもありかな? といったところ。 私としては、ラストに笑撃(誤字にあらず)の事実が判明した執事と、ジョシュアとの今後の攻防が気になったりとかvv
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No.5109
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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