2013年07月26日の読書
2013年07月26日(Fri)
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本日の初読図書: 五年生になる柄崎恭平は、共働きの両親が忙しいからと、夏休みに玻璃ヶ浦にある親戚が経営する旅館へ預けられることになった。 最近寂れがちな玻璃ヶ浦には観光客もほとんどおらず、旅館に泊まっているのは他にたった二人。しかもそのうちの一人は、行きの列車でたまたま恭平と言葉を交わした結果、同じ旅館に泊まることになった男で。 その男 ―― 湯川学という博士は、玻璃ヶ浦の海底金属鉱物資源を調査するにあたり、技術協力をするためにやってきているらしかった。 そして旅館の長女で恭平とは二十近く年の離れた従姉妹である川畑成実は、地元の海の環境保護活動をしている。資源の調査によって海が汚染されるのではないかと開発に反発している彼女だったが、そんな彼女も湯川と言葉を交わすうちに、いろいろと物思うところがでてきたようだ。 そんなある日のこと、旅館に泊まっていたもう一人の客が、死体で発見された。夜中に散策していたところを、堤防から足を滑らせ転落死したと思われた。しかし被害者が警視庁のOBだったことから詳しく死因を調べたところ、睡眠薬を飲んだ上での一酸化炭素中毒だったと判明する。つまりはどこか別の場所で死亡した遺体を、誰かがその場所へ運んだと言うわけだ。はたしてそれは、事故なのか、殺人なのか。 詳しい捜査が始まる中で、警視庁は所轄の県警とは別に独自に情報を集めることを決定した。白羽の矢が立ったのは草薙刑事。もちろん理由は、くだんの旅館に宿泊しているのが旧友 湯川だからだ。 湯川もまた、珍しく素直に調査協力を受け入れる。 いわく「今回の事件の決着を誤れば、ある人物の人生が大きくねじ曲げられてしまうおそれがある」からだと。 そうして湯川は玻璃ヶ浦で事件関係者から様々な話を聞き、草薙と内海薫は、東京で被害者についての情報を集める。 被害者はどうして玻璃ヶ浦などという田舎へゆき、わざわざ寂れた旅館を選んで宿泊したのか。 やがてそこには絡み合う、過去からの因縁が浮かび上がってきて……
去年から予約していた、ガリレオシリーズ長編作(読んだのはハードカバー版でしたが、 Amazon になかったので書影は文庫版です)。 折しもちょうど、映画が公開された今頃に順番が回ってきました。とは言え映画を見に行く予定はないし、情報も全く仕入れてませんけど。 ただやはりついこの間、TVでドラマのシーズン1〜2を立て続けに見たおかげで、メインキャラクターは完全にドラマキャスティングで脳内イメージされましたね(苦笑) おっかしいなあ、最初に原作読んだ時はホームズ役にしては癖のないキャラだと思っていたのに、福山さんで想像すると、途端に変人湯川で動き出すvv ……しかし設定では湯川先生=非論理的な子供が嫌いになっているはずなのに、このお話では全編ずっと子供と積極的に遊び、その未来を気遣い、最後には事件の真相すら隠蔽というか……黙して語らない形になっています。映画ではそのへんどんなふうに描写されてるんでしょう? 基本的に映画はTVで放送やるまで見ないんですが……二年ぐらいで放送されるかなあ。
しかし今回のお話は、本当に湯川先生らしからぬ話運びだったように思います。前述の通り子供の相手をするところとか、事件の真相をはっきりさせないところとか。 ……確かに子供の未来は大切かもしれませんが、それ以前に過去の冤罪を見逃すのはどうなの? 時効制度はなくなったんだから、十六年前でも罪は罪でしょ? そして未必の故意的な部分はあったとしても、殺人は殺人。過失致死ですますには、殺された人とその遺族が気の毒すぎやしないかい? 殺された人はあんなに良い人で、心底から善意で動いていたと思うのよ。そりゃあ、犯人側から見れば現在の生活を脅かす存在だったかもしれないけど。だからって殺して良いわけはないし、その『死』をもたらした『罪』を、目こぼしするのもどうなの?? と。 これが金田一耕助とかホームズさんとかなら、時代もあるし『そう言う人だから』で納得できるんですが、現代が舞台でしかも論理を重んじる湯川先生だとなあ……ううむ……(悩)
まあでも、お話自体はおもしろかったです。ほぼ一日で読み通しちゃったくらいに。 玻璃ヶ浦と東京、十六年前と現在、恭平くんと成実さんと湯川先生と警察という、絡まり逢う複数の要素がやがてひとつにまとまっていく様は、なかなかに引き込まれました。 むー……単に私が、ドラマの変人設定に引っ張られ過ぎて、原作での性格付けがよく判らなくなってきてるだけなのかなあ。
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No.4982
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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