よしなしことを、日々徒然に……
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 2013年06月15日の読書
2013年06月15日(Sat) 
本日の初読図書:
「毎日がメリー・バッド・エンド(ムーンライトノベルズ)」
 http://novel18.syosetu.com/n3293bp/

左目のまわりにべっとりと醜い痣がある女子高生 青山灯子。暴走族上がりの父親を持つ彼女は、家では虐待を受け、外では子供の頃からいじめられ続けて孤立していた。友人はおらず、外出すれば人目が突き刺さる。図書館で本を借りるのと勉強だけが、彼女の楽しみだった。
そんなある日、父親が絶対に家から出るなと言い残して出かけていった。そうして一人で留守番していたアパートへやってきたのは、恐ろしいヤクザ達。灯子は借金のカタに、父親の手で売られたのだ。
しかし顔に痣があり、全身虐待による傷跡だらけだった灯子は、たとえ処女であっても売り物になどならないとのことだった。
ヤクザ達の中でも偉そうな男 市松祠門は、逃げた灯子の父親を探し出せと部下へ命じた。それから灯子へは、意外な事を提案する。
もしどうしても勉強を続けたいのであれば、自分の元へ来ると良い。身体で代償を払うのなら、高校は卒業させてやるし、大学へも行かせてやるぞ、と。
それは物珍しさと、ちょっとした好奇心から出た言葉に過ぎなかった。自身も顔の半分を薬で焼き潰され、全身傷まみれである祠門にとって、灯子の痣や傷など何ほどのものでもなかったのだ。若い処女を抱ければめっけもの。その程度の気まぐれだった。
灯子は迷った末に祠門のマンションを訪れ、そうして倍近く年上の男に囲われることを選ぶ。
それから悲惨なことや不思議なことがたくさん起きて、打算と気まぐれから始まった二人の関係は、じょじょに変化してゆく。
そうして少女はいつしか、関東最凶の狂犬を手に入れるのだった ――

商業作家 諸口正巳さんの新作。R18完結済。
……この方の作品は、たいてい残虐的グロ描写が激しいですが、今回はそれに文字通りの18禁も含まれています。その代わりと言ってはなんですが、猟奇方向も含めて描写は控えめ(あることはある)なので、この人の作品にしては読みやすい、かな?<あくまで当社比
ちなみにリニューアル版「ヤクザな退魔」のスピンオフです。メインキャラは なろう版 での新キャラだった、門倉の狂犬三号こと市松祠門さん。ヤク退ではちょっと愉快なアニキって感じだった彼の、本性というか鬼畜ぶりが余すところなく描かれております。狂犬? いやいやいや、そんなレベルじゃないだろこれ??
笙矢が二度と見たくないとだけ表現した身体中の傷も、それを負った時の状況を含めて、しっかり暴露されています。ヤクザ怖い、ヤクザ(汗)
そんな鬼畜ヤクザをお相手するのは、虐待を受けて育った内気な少女。

えー……間違えてはいけません。この物語は心優しい純粋な少女が、その愛情で凶悪ヤクザを更正させるお話では あ り ま せ ん 。
父を恐れ世間を恐れ、ただひたすら萎縮するだけだった哀れな子供が、壮絶な体験と壊れた愛を受けて、新たなオトナとして成長する物語です。

 おまえをしあわせにはしてやれないが、
 おまえのてきはみなごろし

この一文が、全てを表しているでしょう。
壮絶な体験を一言では説明できませんが……ええと、普通ヒロインが敵方にさらわれたら、危機一髪で助けが来ますよね? でもこの話では来ないんです(−ー;) いや助けには来てくれるんですけど、普通の話で言うなら思いきり手遅れになってからっていうか……とりあえず命はあった。肉体的な後遺症は残らなかった。そういうレベルです。
そうしてその報復は、完膚無きまでに容赦なく。
現代日本が舞台のお話なのに、死者が数十人。しかもり方が……(怖)

……それでも最終的に、二人は幸せです。
五秒後に生きていられる保証はどこにもない。だから今を全力で生きる。そうして、行使した『力』の報いをいつか受ける。二人とも、いつかきっと地獄へ堕ちる。
それを自覚した上で、お互いをお互いなりの不器用なやり方で、精一杯大事にしています。
うん……これならけして正義とは言えない二人のことも、過剰な暴力表現も、ひとつの物語として読めます。

個人的に諸口さんの作品は、コメディ色の強いヤク退が一番好きなので、スピンオフであるぶん、受け入れやすいという面もあるのかもしれませんが。

……っていうかただ単に、壊れた男が唯一絶対の相手に対してのみデレるというシチュエーションが、大好物だってだけなのかも(苦笑)
No.4864 (読書)

 
 この記事へのコメント
 
iwamoto  2013/06/16/08:42:37
ふ〜ん、そういうものなの?
縁遠いお話です。
彼女はFemme fataleだったのですか。
 
No.4865
 
神崎真  2013/06/16/15:32:47
えーと「そういう」がどこにかかるかいまいち不明ですが、おおむねそうなんです(苦笑)
ファム・ファタールは時として男を破滅にも導くそうですが、祠門さんは最初から壊滅しているので、むしろ導かれたのはヒロインの方かも??

ともあれ、夢を見たいお年頃(?)としては、やっぱり強い男の唯一絶対になれるという展開は、なんだかんだ言っても心が躍りますvv
 
No.4866

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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