よしなしことを、日々徒然に……
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 2013年04月13日の読書
2013年04月13日(Sat) 
本日の初読図書:
4198936048神去なあなあ日常 (徳間文庫)
三浦しをん
徳間書店 2012-09-07

by G-Tools
横浜に住む高校生 平野勇気は、卒業したら適当にフリーターで食っていこうと考えていた。だが卒業式の当日になって、おもむろに担任教師より「就職先を決めてきてやったぞ」と言い渡された。そんなこと、頼んでなどいない。寝耳に水の話に戸惑っている間に、両親からは当面の着替えを渡されて、さっさと家から放り出されてしまった。行き先は三重県の山奥にある神去村。なんでも最低一年は帰ってこられないと言う。
訳が分からぬまま駅に降り立った勇気を迎えに来たのは、髪を金色に染めた物騒な雰囲気の男、与喜(ヨキ)だった。さらに軽トラで走ること一時間あまり。携帯の電波すら届かぬ山村で、勇気は何の説明もなく、みっちりと一週間チェンソーの扱いを叩き込まれた。そうして送り込まれた先は、村の「おやかたさま」こと中村清一が率いる、中村林業株式会社。
なんと勇気は知らぬ間に、林業へ就業することを前提に国から補助が出る、「緑の雇用制度」に応募されていたのだった。基本的にIターンやUターンした、林業に興味を持つ人間の再雇用を対象としたもので、新卒のしかも林業など考えたこともない勇気が受けるなど、例外中の例外である。
しかし物理的にも空気的にも、逃げられる雰囲気ではなかった。
かくして勇気は、強面の先輩ヨキら中村班の面々と共に、山で杉や檜を育てる仕事を学ぶことになった。
それは精神的にも肉体的にもひどく辛い作業で。
けれど勇気はやがて気がつく。深い深い神去の山には、今も不思議が息づいていると。それらと村人達は、ごくごく自然に共存しているのだと。
そんな彼らと過ごすうちに、時に泣き言をこぼし、時に反発しながらも、勇気は徐々に山の魅力へと目覚めてゆく ――

以前に新聞コラムで紹介されていて、ちょっと興味を持っていたところへ、ラジオドラマを聴く機会があったので(以下略)
読んでみたら、ラジオドラマがすごく丁寧に作られていたことが判りました。やー、ほんとに青アドは原作を大切にした脚本を書いて下さってますね(もちろん声優さん達の演技や音楽もすばらしいのですが、何よりまずは脚本です)。
音で聴いているだけでは、ユーキやヨキ、サンタなどがどういう漢字を当てられているのか判らなかったので、そのあたりはだいぶ新鮮でした。
物語的には、いきなり右も左も分からないまま知らない環境へと放り込まれ、その後も詳しい説明を全然もらえないまま右往左往させられる勇気の立場に、いろんな意味で物思うところはあるのですが。まあそれはさておき。
とにかくヨキの兄貴っぷりが素敵ですvv なにこの良い漢(と書いて「おとこ」と読む)。
見た目は年喰ったヤンキー。心根はどこまでも故郷の山と、嫁さんを愛する若き職人。でも嫁さんの目を盗んではスナックに行くし、ばれれば土下座もする(笑)
そして班の一員である犬の元気がなくなれば、仲間みんなで大真面目に一芝居売って、自信を取り戻させてやる。その心意気がまた良いんですよねえ。

タイトルに神の字があるように、このお話にはしばしば不思議な存在や現象 ―― 神様に関わるあれこれが登場します。おやかたさまの五歳の息子 山太は神隠しに逢うし、勇気は幾度も山の中で神様の娘と呼ばれる不思議な女性を目撃する。山中で濃霧の奥から聞こえる、太鼓や鈴の音と、通り過ぎる『何か』の気配。
それでも神去村の人々は、それらを静かに受け止めつつ、あえて言葉に出して取り沙汰することはしません。

山の生き物は、山のもの。山での出来事は、神様の領域。お邪魔してるだけの人間は、よけいなことには首をつっこまない。

この一文が、この物語の全てを集約していると思います。
山の神を敬い、その恵みに感謝しながら、神去村の人々は時に信心深く、時に剛胆に、「なあなあ」と日々を過ごしているのです。

あくまでこれはフィクションであり、現実の林業はもっと厳しく、そうそうこの話のようにうまくやっていける訳ではないと、判ってはいるのですが。
固いこというねぃ。読んで楽しい気持ちになれるのなら、それで良いわなvv
読後、胸の奥がほんわり暖かくなる感じがしました。

勇気がマジで危機一髪に陥った時、そこへ救いの手を伸ばすヨキと、握り返す勇気。そこであの『お約束(byリポD)』が飛ばされた時は、マジ笑いしてしまいましたがvv

ああでもヨキよ。
ラジオドラマ聴いたときも思ったが、携帯のバッテリパックは高いんやぞーーーっっっ!! っていうか、携帯は通話やメールだけに使うんやない! たとえ圏外であっても、DLしてあるアレとかコレとか読むのに使えるんだから、そんなことされた日には、私だったらブチ切れるねぃなっっっ!?
No.4709 (読書)

 
 この記事へのコメント
 
paoまま  2013/04/14/14:58:12 [HOME]
なんかネー、まこっちゃんまたまた面白そうな本をめっけたねー。
いつも感心するのですが、どうしてそんなに面白そうな本を見つけられるのか?
私なんかたまにたまーーにしか本屋さんへ行かなくなりましたが、いざ行っても何を買っていいやら浦島太郎状態。

いやそもそも「本好き少女」であった私は一体どこへ行ってしまったのかっっ!
活字を読まなければ一日が終わらなかった私は一体どこへ行ってしまったのかっっ!

若い頃よりは今の方が書物にお金をかけられると言うのに、このていたらく・・・
情けなや〜。

昨日実家の父と久しぶりに宮城谷昌光や柴錬や司馬遼太郎の本の話しをして楽しかったデス。
で、父と「死ぬまでに三国志を読み切ってみたい」と話しをしたら、父もまこっちゃんと同じく「どの作家の作品を読むかで全然違うからなー」と言っていました。

本読み同士の話しは楽しいねぇ。
ま、はたから見たらなーんの益にもならないたわごとに聞こえるかもしれないけれど。

ああ、でも5末まで目を酷使しておりますので、仕事を終えて文庫を開く気力がいま一つ湧いてこないのヨ〜。
情けなや〜。
 
No.4711
 
神崎真  2013/04/14/22:20:01
ふふふふふ、実は感想を書いていて、なんだかままさんが反応されそうなお話だなあ、と思っておりました(笑)

私も最近はめっきり本屋さんへ行かなくなっています。昔は仕事帰りに毎日最低二軒はハシゴしていたものでしたけど……
この頃の情報収集は、もっぱらネットと新聞です。
うちの地元新聞では、毎週一回、見開き一面を使った書籍紹介のコーナーがあるのですよね。様々な種類の本が載るので、好みに合うものは滅多にないのですけれど。たまーにアタリがあります。
あと某掲示板サイトに、「以前こういう内容の話を読んだけど、タイトル忘れた。誰か心当たりあったら教えて!」「こういうタイプの話を読みたいけれど、良いのがあったら紹介プリーズ!」という記事が集まっている板がありまして。そこを読みながら、判るものにはひっそり返信しつつ、興味深そうなものを見つけるとチェックしてみたりとか。
そうそう、 Amazon のオススメも馬鹿にできません(苦笑)
さらに最近はまっているのは、NHKで深夜にやっているラジオドラマシリーズの原作探し。
この「神去なあなあ日常」や以前紹介した「リプレイ」は、そのラジオドラマが面白くって読んだクチです。

ふふふふふ、そうやって、どんどん読みたいものリストが長くなってゆくのですよ……

> 三国志
おお、お父様もいろいろなバージョンをお読みになっておられるのですね。
……って、私はまだ、まともに最後(三国の統一)まで読んだのって、子供向けだけなんですが(^ー^;;)ゞ
本読み同士の話は、本当にいつまで経っても尽きないものです。
以前チャットが賑わっていた時期は、それこそ夜を徹して十時間以上もチャットで会話していたものです。指輪物語が映画化された時なんて、特にすごかったなあ(懐)
またあんなふうに大人数で、ワイワイ盛り上がってみたいものです。
 
No.4712

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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