よしなしことを、日々徒然に……
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 2013年04月11日の読書
2013年04月11日(Thr) 
本日の初読図書:
4894568756三国志〈2の巻〉参旗の星 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
北方 謙三
角川春樹事務所 2001-07

by G-Tools
とにかく呂布! な二巻目でした。
北方先生は本当に呂布が好きなんだなあ、と(笑)
wiki やユーザーレビューを読んでいると、北方先生は呂布や張飛が好きで、劉備が嫌いなんだろうという記述が見受けられます。本当にその通りだと思いました。
相変わらず視点は様々な人物へと飛び、それぞれがそれぞれの『正道』を語っていて、どれが本当に『正しい』のかは、読む人それぞれの解釈というか、好みで選べるような書き方をされています。しかしその中でも明らかに、呂布が別格で格好良いのですよ。
この巻は、王允が呂布と董卓の離反を計るべく、呂布の妻へ言葉巧みに毒を吹き込むところから始まり、曹操が青州の黄巾党を平定してエン州の実権を握りつつ、洛陽へ逃げてきた帝を許都に迎え入れるまでが収録されています。
その間に孫策は袁術の元から独立して、周瑜と共に揚州あたりを攻め取って拠点にしたり、劉備が陶謙に徐州を譲られたのち、曹操と戦って敗れた呂布を客将にした結果、留守にしている間に実権を奪われたりしております。

この劉備の変遷の書かれ方がですね、またおもしろいのですよ。
まず演義では温厚で誠実な人物となっていた陶謙が、欲深で陰険な、利己的なキャラクターになっているのです。黄巾党と裏取引して、兵糧を供給してやる代わりに徐州では暴れないようにさせてみたり、賊と一緒になってあちこちを略奪してから、すべての罪を賊に着せて処刑したりとかしています。曹操の父親を襲撃したのも、部下の暴走などではなく、しっかり陶謙の指示。
そんな州牧(領主)では当然人望もなく、また周囲には曹操や袁紹といった厄介な敵がいっぱいで、文字通り内憂外患状態。このまま息子達に跡を継がせると、すぐさま押し潰されてしまうのは目に見えている。ならば『腕は立つけれど人の良い劉備玄徳』にいったん跡目を押しつけて、すべての問題を片付けてもらおう。劉備は仁徳者だから、次の代にはまた息子達に地位を返してくれるだろうと言う、腹黒い計算があったのですね。
そしてそれらの目論見を見抜いた劉備の方は、なんとか断ろう断ろうとするのですが、ここで理由もなく突っぱねると、これまで十数年かけて築き上げてきた『徳の将軍』という評判が台無しになってしまう。それにやっぱり一州の牧という立場は、喉から手が出るほどに魅力的。
で、出した結論が、

「無位無官同様の身から、そろそろ脱け出したいのだ。州をひとつ治めた、という実績が欲しい。いずれ徐州は失うことになるかもしれぬが、その時も、ただの流浪の義勇兵ではなくなる」

と。
こいつ最初から、投げ出す気満々でやがる(笑)
で、もって。
実際にすぐ投げ出しちゃうんです。
袁術が大軍をもって攻めてくる準備をしていると、聞きつけた劉備さん。何もせずただ逃げ出したのでは、卑怯者のそしりを受けてしまい、これまで培ってきた人望が(以下略)
ならば民を守るため城を不在にした隙に、卑怯者に横から奪われたという形にすれば、領主としての責務は果たした形になるし、周囲からの同情も買えて一石二鳥★
そう計画した劉備は、部下達と示し合わせてわざと城を空にし、袁術とは力を抜いて適当に戦闘。その間に留守居として残った張飛が一芝居売って、もともと邪魔だった陶兼の旧臣を殴り殺して逃亡 → 留守を任されていた客将の呂布は、驚きつつ部隊を率いて駆けつけ事態を収容 → その呂布に補佐としてついていた陳宮が、欲を出して城を乗っ取ろうと言い出す → 計算通り★
かくして、やっかいな土地の当面の統治と内外の問題解決を、まんまと呂布(と陳宮)に押しつけちゃったあげく、「あとは、徐州をいつ奪回するか」と呟く訳ですよ! なにこのブラック劉備。かくまってくれた劉備に対し、純粋に恩返ししようとして動いた呂布は、いい面の皮ですがな。

……まあ、この呂布は呂布で、愛妻を失って以降はもうすっかり解脱しちゃった感じでして。長安を脱出した後、自分一人だけであれば赤兎と共に原野を放浪するけれど、直属の麾下たる五百の騎兵を飢えさせる訳には行かないから、とりあえず各地の有力者の元を転々としてみつつも、誰もが恐れて長くは使ってくれない。そんな呂布を、野心と頭脳はあるけれど、自分の思い通りに動いてくれる主人(武将)を持てずにいた、陳宮が担ぎ上げるわけです。
呂布は陳宮が野心のために自分を利用しても、自分はただ思う通りに戦えればそれで良い。そして陳宮は陳宮の夢を見れば良い、たとえそれが見果てぬものであっても、と突き放したスタンス。無言で愛馬とだけ語り合い、一人恬淡としているあたり、なんだかとってもハードボイルドvv

いやあ、1巻目読んだときも書きましたが、本当に斬新なキャラクター設定です。そこがまた面白いんですがvv
本当に良くできた、パロディ小説だと思います。
そう、あくまで二次創作。ああ、この雰囲気は映画「レッドクリフ」にも通じるかもしれません。これらを最初に読んで(見て)しまったら、本家「演義」に忠実なバージョンに接した際には、びっくりすること間違いなしです。

でも私は、この劉備が好きなんだよなあ。
北方謙三は劉備が嫌いなんだろうというレビューを読んだときは、どんなひどい書かれ方をしているのかと、心配していたのですが。
あのレビューは、「『演義』の劉備が嫌いだから、自分(北方謙三)好みに性格改変したんだろう」という意味だったんでしょう。
この劉備だったならば、心底忠誠を誓えば、報われることもあるかもしれないと思えます<そんなに演義の劉備はひどいのか(苦笑)

さて、その呂布も次の巻ぐらいで……でしょうか?
こうなると、どんな退場ぶりを見せてくれるのか、期待が高まります。
っていうか、この調子だと赤兎も……あれ? 関羽の立場は??
No.4700 (読書)

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
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シグ3= SigmarionIII です。

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