よしなしことを、日々徒然に……
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 2012年12月16日の読書
2012年12月16日(Sun) 
本日の初読図書:
4048866583ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)
三上 延
アスキー・メディアワークス 2012-06-21

by G-Tools
古本販売業者同士で在庫を売買する、市場こと『古書交換会』。勤務してそろそろ半年になる大輔も、年末になって初めてそこへ足を踏み入れた。しかし栞子をやたらと敵視する古本屋ヒトリ書房と遭遇してしまい、狙っていた古書は落札できず、駐車していたバンには違反切符を切られるなど、踏んだり蹴ったりが続く。しかも何故か持ち込んだ覚えのない二束三文の古本が大量にビブリア古書堂名義で出品されていたり、あげくのはてには落札した本の中から消えたという高価な1冊を、栞子が盗んだのだとヒトリ書房から糾弾される。困ったことにその本と同じ品を、栞子は確かに持っていて……「ロバート・F・ヤング たんぽぽ娘」
以前に助けてもらって以来、年の差夫婦の片割れ坂口しのぶは、ちょくちょくビブリア古書堂に顔を出すようになった。もっともおしゃべりをして行くばかりで、ちっとも本は買わない。そんな彼女が相談事を持ちかけてきた。子供の頃に読んで大好きだった本を、探してほしいというのだ。探求書の依頼は、古本屋として珍しくない。しかし彼女はタイトルも作者も出版社も、なにひとつ覚えていなかった。大まかな印象やエピソードの断片だけでは、さすがの栞子もお手上げだ。詳しい情報を求めてしのぶの実家へ行くことを提案したのだが、しのぶは昔から家族と折り合いが悪いそうで、どうにも気が進まないらしい。しかもつい先日、夫の過去が家族にばれたせいで、いったん修復しかけていた仲がいっそうこじれてしまったのだという。それでも不承不承、三人で実家へと向かったのだが……「タヌキとワニと犬が出てくる、絵本みたいなの」
最近ビブリア古書堂では、古本にまつわる相談を『再び』受け始めたとの噂が出ていた。どうやらかつては栞子の母が、そういった相談に乗っていたらしい。しかしその裏で法外な金品を受け取ったり、犯罪まがいの取引を行っていたと知る栞子は、母への反発からこれまでそれらを忌避してきていた。……いやあるいは単に、極端な人見知りのせいで、他人とくわしい会話ができなかっただけかもしれないが。ともあれ大輔がバイトに入ってから、いくつかのトラブルを解決したため、そんな噂が流れたのだろう。今回は母の同級生だという初老の女性が、依頼を持ち込んできた。兄か兄嫁が盗んだ、宮沢賢治の初版本を取り返してほしいという内容だ。同じ本は状態の良い美品をもう一冊持っているのだが、書き込みも多く痛んでいる盗まれたものの方が、父の形見として思い入れがあるのだ、と。しかし関係者に話を聞いてゆくと、その場にいた誰にも、物理的に盗むのが不可能に思われてきて……「宮澤賢治 春と修羅(關根書店)」

とりあえず、現段階で発売されている巻まで読了。
2巻に引き続き、今回も栞子さんの母親についての謎が根底に流れています。
っていうか、どんどん底の知れない怖い人になっていっていて、これどういうふうに風呂敷を畳まれるのかが気になります。ここまで興味を煽っておいて、なんてことないオチだったらがっかりしますよ? 特に今度始まるドラマの方とか、変な解釈されたりしたら、ファンは怒るぞ〜〜(ただでさえ栞子さんのキャスティングで、非難の声が出ているらしいのに)。
内容については、巻を重ねるにつれ少しずつ読後感が安心できるものになっているように思います。良くも悪くもライトになっているというか。栞子さんやゲストキャラが孕む『心の闇』よりも、母親の黒さが際だっていて、話ひとつひとつの薄暗さは軽減されているような印象が。
……なんと言っても、1巻目のインパクトが特に強かったですからねえ(苦笑)
そもそもこれ、最初は1冊だけの予定だったんじゃないでしょうか。キリの良いところで綺麗に終わってますし。たまたま人気が出たから、栞子さんの母親設定を追加して、先を続けたのではないかとか邪推してみたり。
まあ後味の悪い話は読んでいると辛くなるので、個人的には楽しんでいます。
文香ちゃんの大輔イメージ『戦士みたいな体つきのくせに、性格は侍従っぽい』が妙にツボでしたvv
キャラの印象と言えば、ゲストキャラを1回使い捨てにせず、ちゃんと彼らの背景も書き込んで、記号ではない『生きた』キャラクターとして再登場させているあたりも好感が持てます。これは坂木司さんの、ひきこもり探偵シリーズでも思ったなあ。
エピローグの展開については、1話目読了段階で、おおむね読めてました。
……十年間も同じメールアドレス、しかも独自ドメインを使い続けるのって、不可能ではないかもしれないけど、現実的にはどうかなあとかちょっと思ったりしなくもなく。
ああでもそうか。インターネットが気軽に一般で使われ始めてから、もう十五年以上は経つんですねえ……なんて、ちょっとしみじみもしてみたり。

そうそう、ビブリア古書堂は昔ながらの古本屋でありながら、ネット通販も手がけているあたりとかが、いかにも今どきの実際にありそうな店っぽくておもしろいと思います。
古色蒼然とした時代錯誤なお店というのも物語的にはおいしいですが、ネット通販を利用しまくっている本好きとして、妙にリアルで身近に感じられてvv
……ビブリアさんのように、二束三文のリサイクル新古書だけでなく、ちょっと手に入りにくいマニアックな品なども、どんどん通販で取り扱ってもらえたら嬉しいなあ。

あとは1話目のモチーフになっている「たんぽぽ娘」。
日本語訳された書籍は絶版プレミアつきになっているそうですが、原文の著作権が切れているらしく、アマチュアブロガーさんが翻訳・公開しておられました。

■みすぼらしいぶろぐ- たんぽぽ娘―“Dandelion girl”を読む作業(1)
 http://riddr2.blog89.fc2.com/blog-entry-79.html

ビブリア〜の方では結末をぼかされているので、こちらを読まれるとあれこれが腑に落ちて、いっそう楽しめるのではないでしょうか。
……↑を見つけるまでに、うっかり解説レビューで結末を知っちゃったのが悔やまれる(しくしくしく)
No.4402 (読書)

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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