よしなしことを、日々徒然に……
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 2012年09月22日の読書
2012年09月22日(Sat) 
本日の初読図書:
「乱世を往く!(小説家になろう)」〜外伝 遠方より友来る
 http://ncode.syosetu.com/n6654p/

イスト・ヴァーレと独立都市ヴェンツブルク、そしてイストの友人であるアルジャーク帝国の妾腹の皇子クロノワの策謀によって聖銀ミスリルの独占製造権を失った教会組織は、年間予算の数割を失い大幅にその影響力を落とした。
そしてアルジャーク帝国は皇帝ベルトロワの政策により、次々と周辺諸国を併呑するべく手を伸ばしてゆく。
一方、大陸北西部にあるアルテンシア半島では、民を搾取する腐りきった同盟諸国を叩き潰すべく、魔剣の使い手シーヴァ・オズワルド将軍が反旗を翻した。
内紛に混乱するアルテンシア半島につけ込もうと、教会は十字軍を組織し、聖戦という名の組織的略奪を試みるべく遠征を開始する。
アルジャーク帝国・教会・アルテンシア半島、そしてそれらを取りまく国々を巻き込んで、大陸は乱世の道をひた走る。
そして作り出される歴史の裏には、けして表に出ることのない魔導職人アバサ・ロットの姿がある。
帝国の皇位継承権争い、シーヴァによるアルテンシア半島の統一と十字軍への抵抗、そして教会が抱く隠された大いなる秘密。
大陸の歴史は大きく動き、そしてその影でひとりの魔導職人が哄笑する ――

読み始めたときに書いた最初の方の紹介は、こちらの記事でどうぞ。
完結済長編異世界FT。本編全10話+後日談的外伝2本。ついに読み終わりました……(放心)
流し読むのはもったいないと、まとまった時間が確保できる時に読んでいたら、一ヶ月もかかってしまいましたよ。
ちなみにテキストファイルでざっと2MBちょいあります。普通の文庫本が1冊だいたい 200 〜 400KB と考えてもらえれば、そのスケールがお判りいただけるんじゃないかと。
もうね、すごかったです。これだけの長さで、中だるみがいっさいなし。キャラも立ちまくりなら、ストーリーも世界観もがっつり骨太。
最初は魔道具によるチート展開系なのかなと思っていたら、人間関係や国同士の思惑が入り乱れーの、大軍を動員した合戦ありーの、重い惨劇や心理的葛藤があるかと思えば、思わず吹き出すようなギャグもあって、あっという間に引き込まれてしまいました。
数え切れないほど多くのキャラクターが出てくるのに、そのほとんどが再登場時に「えっと、これ誰だっけ?」とならない、見事な文章力。
巨大な大陸の一地方から始まった事件が、やがて大陸全土を巻き込んだ戦乱へと広がっていく。その中で歴史を動かす傑物もいれば、懸命に日々を生きる一般の人々もいる。それがしみじみと感じられました。
いやはや、お腹いっぱいです。ご馳走様でした。

個人的に大贔屓なのは、作者様いわく「紳士な戦闘狂」。まさしく剣豪、修羅と呼ぶにふさわしい、おっさんことジルド・レイド。
もうこの人は、川原正敏先生の絵でしか思い浮かびません。
登場するのが物語も中盤になってからだったので、単なるゲストキャラかな? と思っていたら、どうしてどうして。
同じく剣鬼、覇王にして歩く攻城兵器(文字通り)シーヴァ・オズワルドとの一騎打ちは、全編通じて屈指の見せ場でしょう!
この二人のおかげで、私はいま『獰猛な笑顔』というのが書きたくてしかたがありません。どうしてくれるんだコンチクショウvv

狂気(喜)を孕んだ笑顔と言えば、二人の仕合いを見ているイストの表情と、同じくパックスが堕ちたときのそれにも、背筋がゾクゾクしましたね。ああ、この壊れッぷり、なんて危険な魅力に満ちた男達なんだ!

そしてそして……雪華さん……話が終わりに近づくにつれて、ああこの戦場でもなかった、この戦場でもない。もう老将軍と呼べる人なんて……いやでもあの人は地の文で一応『壮年』って書かれてる。きっと大丈夫だきっと、と思っていたら、思っていたらぁぁぁあああ(号泣)

ところどころで本当に容赦のないお話でした。特に教会関係者の良識派とか、あとパックス周辺に住んでいた一般市民とかね……(−ー;)
でも主要キャラ達はおおむね幸せになってくれたので、読後感は良かったです。
あえて個人的要望を言えば、切実に大陸地図(主要都市&砦入り)が欲しかった……

それこそ書籍化されかねない良作なので、読みたい方はお早めに。ただし相当な時間を見込んでおくことが必要かとvv


2014年10月30日 追記:
まったく独自の勝手な解釈ながら、だいたいの地図を自作してみました(苦笑)
一応のところは、おおむね辻褄もあってると思います。



さらに年表とか貨幣価値もまとめてみたりとか(笑)
2014年10月30日の記事
No.4161 (読書)

 
 この記事へのコメント
 
雪華  2012/09/24/22:17:28 [HOME]
こんばんわ、雪華です。

ねぇ、面白かったでしょう〜〜〜vvv
二人の修羅が剣を交える辺りなんて、もうもうもうっっ!!!(ジタバタジタバタ)
水上を『走って』海賊退治するシーンも格好良かったですが、剣鬼二人が三次元空間いっぱい使って激突するラストバトルは本当に痺れました。戦闘シーンが格好良く書ける作者様に脱帽です。………うう、羨ましい(涙)。
戦闘続行よりも、イストの危機を察して疾走するシーンもお気に入りです。良いですよね、こういう歳の差のある友人同士って。ジルドはニーナに対しても保護者然として面倒見が良かったですし、包容力ある男性って素敵です。ただし戦闘凶ですが(笑)。
数年毎に魔道具の点検を兼ねて顔を見に行っていたらいいなぁ、と思っています。そして、やっぱり数年に一度の頻度でアルテンシアに死合に行って、顔パスになっているとか(笑)。シーヴァも側近達に、「やるなとは言いませんから、せめて世継ぎを儲けてからにしてください」とか叱られてると良いです(笑)。きっと、見届け人はたくさんいても止める人は誰もいないと思います。

イストとクロノワの友情も素敵です。
「共に世界を旅する約束の代わりに、世界を狭くする」ために走ると決めたクロノワも、その夢の為にさり気なくとんでも魔道具を設計してしまうイストも大好きです。
いいなぁ、友情万歳。

師匠に毒されつつも、常識人で在り続けたニーナも可愛かったです。
意外に、イストに喧嘩を売ったライバル工房の青年とどうこうなったんじゃないかなぁ、と思っております。

後半に漸く登場した『イストの為の』ヒロイン・翡翠嬢も好みのタイプのヒロインでした。彼女だからこそ、イストを『人間として』幸せにできたのだと思います。
彼女との子供なら、イストも可愛くて仕方ないでしょうね。きっと、イスト的に翡翠>娘>息子>>>クロノワとかじゃないでしょうか(笑)? イストは「翡翠が泣く」から過保護な魔道具を作ったそうですしね。

本当に、何故これが書籍化されないのかとても不思議です。
いつ本になっても可笑しくないので、私も今のうちに保存しておきます。
 
No.4168
 
神崎真  2012/09/24/23:00:22
雪華さんもこんばんはです〜〜。

もうね、すっごいおもしろかったです! 本当にご紹介ありがとうございましたvv きっと雪華さんに教えていただかなかったら、目次までたどり着いても手をつけていなかったと思うので、まったくもって感謝感謝です。

> 修羅
まさしく修羅でしたね。二人とも。
三次元と魔法を駆使したチャンバラは、すさまじかったです。また二人ともほんとーーーに楽しそうでvv
凶悪な笑みを浮かべながら、心底楽しそうに剣を交える二人は、まさに武蔵と八雲のようでした。
イストの危機を察して剣を収めるジルドには、思わずニヤリ。いや、腐じゃないですよ? あくまで友情なんですけど! そしてあれだけ互いを分かり合っていながら、別れるときは「じゃあな」の一言なのがまた良いのですvv
数年ごとに魔道具の点検、いいですねえ。きっとそうであってほしいです。そしてアルテンシアで顔パスにも一票。二人の死合いは、きっと誰も、止めたくても止められないでしょう(苦笑)
シーヴァはいまのところ嫁候補がいないようですが、途中で読んでいたときにはゼゼドの族長の娘なんかどうかなあと思ってました。個人的に外見イメージが圓だったりして。

嫁といえば、正直を言うと、翡翠とシルヴィアはいささか唐突に感じました。
翡翠はイストの壊れっぷりをどこまで理解しているのかなあ、とか。まあクロノワは政略結婚以外選択肢がないですし、その中ではベストの相手を選べたと思いますが。
そして翡翠はイストを尻に敷けるという点で、合格ラインでしょうけど(笑)

ニーナがイストの跡を継がなかったのも、個人的に嬉しかったです。彼女には彼女の道を行って欲しかったので。
……そういえばライバル工房の青年なんてのもいましたねえ。イストに刺激を受けて、腕を上げていると良いですね。そしてニーナにはすっかり存在を忘れられていて、必死にアタックすると良いんだ。頑張れワカゾーvv

ところであの話を通じて、一番悩まず何も失わず、ひたすら得をしたのはジルドだったんじゃないでしょうか。
シーヴァも得はしてますけど、その分けっこう苦労してますし。ニーナも悩むし苦労もあり。クロノワはにいたっては、もうつっこみようがないほど波瀾万丈。イストだって(後悔は欠片もしてないけど)足がアレだし。
その点、ジルドは最高の武器と最高の友と最高の好敵手を得て、きっと今後は歴史に名を残す剣豪となるのでしょう。
『愛すべき馬鹿ども』の今後は、これからもいろいろあるのでしょうけれど、それは私達の心の中で。
とりあえず、オリジン・ロウを解き明かしたイストの名は、のちのアバサ・ロット達に長く語り継がれる、屈指の一人になると信じています。
 
No.4170

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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