よしなしことを、日々徒然に……
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 2012年08月16日の読書
2012年08月16日(Thr) 
本日の初読図書:
「乱世を往く!(小説家になろう)」〜第三話 糸のない操り人形3
 http://ncode.syosetu.com/n6654p/

魔力を注ぎ込むことで魔法を発動させる道具、魔道具。
それを扱い戦う人々は「魔導士」と呼ばれた。華々しく活躍し歴史に大きく名を残す彼らだったが、しかしその影で魔導士以上に保護され厚遇され、そして管理されていたのが「魔導職人」であった。
いかに優れていようとも、魔導士はしょせん一人の人間にすぎない。死んでしまえばそこで終わるだけの存在だ。しかし魔道具を作成する魔導職人は、多くの人々に力を与えると同時に、死後もその作品は長きにわたり受け継がれてゆくのである。故に権力者達にとって強力な魔道具を作る優秀な職人達は、なんとしても手元に囲い込み飼いならしておかなければならない存在であった。
そんな世界に、「アバサ・ロット」と呼ばれる流れの魔導職人がいた。年齢性別は一切不明。その手になる魔道具は全て一級品で、しかも気に入った相手にだけ譲るのだと言われている。千年以上前からエルヴィヨン大陸を放浪していると語られるその存在は、一種の称号として親から子、あるいは師から弟子に受け継がれているのではないかと考えられている。
かの職人が作る魔道具は、いつの時代も歴史を作り、あるいは塗り替えてきた。
そして、大陸暦1563年5月 ――
独立都市ヴェンツブルクに一人の青年が姿を見せた。遺跡巡りが趣味だとうそぶく彼イスト・ヴァーレは、様々の変わった魔道具を持っており、たまたま知り合った新米魔導士の少女リリーゼと共に遺跡を探索する。
執政官の一人ディグス・ラクラシアを父に持つリリーゼは、なんの気なしにそのことを夕食の話題に乗せたのだが、それが都市を上げての大騒動のきっかけとなった。イストは優秀な流れの魔導職人と繋がっているらしく、その職人を手元に囲い込みたい有力者達から、懸命に行方を探されている男だったのだ。
対立する複数の有力者が、それぞれの手勢を街へと送り込んだ。そして大混乱の末にようやく一夜が明け、捜索に疲れ果てた一同の前へとイストはひょっこり姿をあらわす。
そうしてひょうひょうとした態度のまま、彼はひとつの取引を持ちかけた。
その一ヶ月のちには大国アルジャークが戦端を開き、大陸全土の歴史が緩慢に動き始めた、そんな時代のこと。
しかし本当の歴史の転換点は、まさにこの日のヴェンツブルクにあったのである ――

昨日から読み始めているのですが、あんまり長くて読了がいつになるのか判らないので、とりあえず中間感想。
どうやら話によって視点が変わり、様々な角度からエルヴィヨン大陸の戦乱を語ってゆく方式のようです。一話目は独立都市ヴェンツブルクのリリーゼ視点。二話目はその北にあるアルジャーク帝国の第二皇子クロノワ視点。三話目はアルジャークの西南に位置するカンタルク王国の士官学校卒業生、少女アズリア・クリーク視点。
そしてどのお話にもイストが深く関わってきています。
とりあえず今まで読んだ所では、二話目の終盤、アルジャーク国・オムージュ国間の戦争で、見事な一騎駆けを見せたエルグ将軍に痺れました。
他の主役級キャラ、美形やひょうひょうたる生き様を見せる魅力的な若人達をさしおいて、よりにもよって敗国の一将軍。しかも出てくる期間はきわめて短いお人。
しかし痺れました。負け戦を悟り、一兵でも多くの味方を救おうと大軍目がけてまっすぐに馬を駆る壮年(たぶん)の将軍。そして命じられることなく、示し合わせたようにその後へ続く三千人の決死隊。アレクセイ将軍ではありませんが、まさしく「血がたぎる」とはこのことでしょう。
敵方さえも魅力的というのは、物語を読む上で非常に需要なポイントだと思います。そして主要な位置にはない人々にも、それぞれの人生があり生き様があるのだと、そんなふうに感じさせてくれるお話って素晴らしいんじゃないでしょうか。
クロノワの異母兄ひとつとっても、けしてテンプレ的な頭の悪い、血筋だけを誇るような馬鹿兄ではありません。もちろん欠点もありますけれど、少なくとも今のところは皇太子として問題ない程度に戦の指揮を執り、それなりに節度のある政を行っています。

そして弟子とお師匠さまの、全力で遊ぶ軽妙なやりとり。
独立都市ヴェンツブルクにおいて、無責任かつ軽薄に行動しているように見えて、その奥底には秘めた入念な計画を張り巡らせているイスト。
戦争の凄惨さに青ざめ吐き気さえもよおしながら、逃げることなく、出た死者の半分は自分に責任があると顔を上げ己の道を進むクロノワ。

軽と重がほどよく混在していて、読んでいてぐいぐいと引き込まれます。これが処女作ってすごいなあ、この作者さん……(嘆息)

三話目はまだ読み始めたばかりですが、こちらも当然イストやその他の人々と関わってくるのでしょうね。
どこまでお話が広がっていくのか、そしてどのように畳まれていくのか。この先も読むのが楽しみですvv


2014年10月30日 追記:
とっても楽しく最後まで読了したその後のその後。
まったく独自の勝手な解釈ながら、だいたいの地図を自作してしまいました(苦笑)
一応のところは、おおむね辻褄もあってると思います。



さらに年表とか貨幣価値もまとめてみたりとか(笑)
2014年10月30日の記事
いやはや、素晴らしい作品でした(しみじみ)
No.4024 (読書)

 
 この記事へのコメント
 
雪華  2012/08/17/23:28:06
こんばんわ、雪華です。

おおっ、読まれましたかっ!!
どんどんどこどこ面白くなっていきますよ〜〜。
私のお気に入りは、文官貴族なのに軍閥貴族に婿養子に行かされ(でも奥さんとはとってもラヴラヴvv)、文官V.S.軍閥では弱兵軍の指揮を執らされ、敵国の大将軍さえ感嘆する粘りを見せた青年です。「持ちこたえろぉぉぉぉぉぉ!!」には本気で燃えました♪
もう一人のお気に入りは、修羅の刻にでも出演しそうな“剣鬼”です。あれはもう燃えと言わずして何という、でした。特に海上を走って海賊船に襲いかかるシーンが鳥肌モノです。
勿論、老将軍の最期の叫び「祖国と陛下に栄光あれっ!!」も、もうっ。槍を掲げて叫んで大往生って、弁慶の如しです。

燃えどころたっぷりなこの先も大変お勧めです。
 
No.4031
 
神崎真  2012/08/18/01:10:33
こんばんは、雪華さん。
読んでますよ! 痺れましたよ! まだ序盤ですけどっ!
今日はいろいろ作業があってあんまり読み進められなかったのが残念です。ちょっと一週間ぐらいかかりそうな作業がでてきちゃって。
これは「ながら」読みをするのがもったいなくて、きちんと時間をとってじっくり腰を据えて読みたいと思っているのです。

っていうか、雪華さん、ネ〜タ〜バ〜レ〜〜〜《o(><)o》
今後も格好いいキャラがいっぱい出てくるのは、よっく判りました。

ところでこの作品、キャラの外見説明がほとんどないですよね?
今のところ判っているのは、イストの髪と目の色ぐらいでしょうか。髪の長さすら描写されていないので、勝手にちょっと長めの癖っ毛をイメージしています。なんだかイメージが「シャルル=ダ・フールの王国」のシャーにかぶっちゃって(笑)
でもそうか、川原正敏さんの絵柄で思い描くのもありですね。ふふふふふvv
 
No.4032
 
雪華  2012/08/18/22:44:46
>ネタバレ
に考慮して固有名詞は書かずに置きました。説明もとっても大雑把。老将軍なんて一国に一人はいますし(笑)。

イメージ>
騎士、戦士etcの戦闘タイプはみんな川原氏の絵柄で脳内展開されています(笑)。修羅よりも海皇紀よりでしょうか。
イストは、王ドロボウの20代バージョンでなんとなく想像しています。
外見への拘りがないのか、あんまり外見描写のない作家さんですが、その分想像の翼はどこまでも自由に羽ばたいていきますよね〜〜。
 
No.4035
 
神崎真  2012/08/19/10:53:15
確かに、一国に一人はいそうですね(笑)<老将軍
ただ本当にこだわりがないのか、外見どころか年齢の描写すら少ないですよね、あの作者さん。
個人的に小説は脳内に映像展開して読むタチなので、手がかりが少ないと厳しいです。
王ドロボウは未読ですが、いま検索してみました。なるほど、確かにイメージそれっぽいです。コートがオレンジ系なのも良い感じvv

ところで前回のお返事コメントで、「あれ、修羅の刻の原作者のフルネームなんだったっけ」と検索したら、アニメ化されていることを知り、うっかり武蔵編まで見てしまいました。
ううむ、ちょっと微妙。アニメだからしかたがないのかもしれませんが、戦った相手の生死が曖昧にぼやかされてしまっています。あれでは八雲も武蔵も「修羅」というより、せいぜいバトルジャンキーのレベル。しかもマンガである原作の方がより躍動感を感じるってどういうことだ。さすがは川原先生と言うべきなのか。
そして個人的に大好きな雷編がないのも残念でした。天斗と圓編は見るのがちょっぴり楽しみですが。幕末編は……正直あんまり覚えてない……
ああ、少し前に古本屋で立ち読みばかりなのに、こっちも大人買いしたくなってきた……
 
No.4038
 
雪華  2012/08/19/17:57:06
修羅アニメ>
アニメ化していたのは当時から知っていたのですが(新刊のチラシとかで)、アニメ化って声とかキャラデザインとかで残念なことが多いので避けておりました。
アニメ画って、矛盾の無い絵柄の漫画家さんと別人28号になってしまう漫画家さんがいますよねぇ。藤子氏のようなセル画がより魅力を増させる漫画家さんがいる一方、荻原氏のようなまじ繊細な絵柄を書く人ほどセル画が微妙な漫画家さんもいます。
加藤氏は結構セル画もイイ感じなのではないかと思っております。
 
No.4042
 
神崎真  2012/08/19/20:13:52
そうですねえ。修羅〜は正直、キャラデザも動きも微妙です(苦笑)
ネット動画は激しい動きになると、どうしても画質が落ちるから、なおいっそう残念です。戦闘シーンで画質が落ちる修羅〜なんて……ッ

そして加藤元浩さんの絵は、確かにアニメ向きだと思います。実写ドラマなんぞにするよりも、よっぽどアニメの方が……っっっ いくら人死にが出るとは言え、それは金田一少年だってコナンだって同じだろうに。しかも一話一話のコンパクトさを思うと、一作二話ぐらいでやってくれたら、見てる方もダレなくってちょうど良いと思います。

そういう点で考えると蟲師などは、よくぞあの難しい絵柄を、あれだけ素晴らしいアニメに仕上げたものだと感心します。キャラデザ・背景・動き・効果・脚本、すべてが素晴らしかった……(ため息)
原作付きのアニメでは、あれが最高峰だと信じています。

……そして雪華さん。
どうしてくれるんですか。
……うっかりポチってしまいましたよ。1〜6巻と小説版を<修羅

まーだ乱世〜も途中だしエリア88も最初しか読み返せてないし、タイバニや修羅のアニメもシャーロックの最終話も、なにもかもが中途半端にスタンバっているのに、どうしたら良いんだ、コンチクショウvv
 
No.4043
 
雪華  2012/08/20/23:12:08
投稿不可ワードにどれかが引っ掛かったようなので、続きは自日記に書きました。
久しぶりの日記がコレってどうなんでしょうねぇ(笑)?
 
No.4047
 
神崎真  2012/08/21/00:36:04
了解です、お返事はそちらでさせていただきました。
……しかし何が投稿ワードに引っかかったんでしょう(−ー;)
半角スラッシュと半角チルダ以外は、URLの頭数字とスパムにありがちな単語を二三登録しているだけなんですけどね?
たまーに自分でもひっかかって悩みます。特に顔文字を使うと、うっかり引っかかることがありますが。
あとコメントでURLを引用して紹介できないのも、地味に不便です。
おのれ、スパム業者め……(恨)
 
No.4050

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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