SHERLOCK2 二話目 バスカヴィルの犬(ハウンド)
2012年08月05日(Sun)
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ようやくTVが空いている時間と、私が集中している時間が一致して、見ることができました。放送は今夜でもう最終話かと思うと、感慨深いですね…… 例によって、一度見ただけの記憶を頼りにしているので、かなりいい加減です。
んー……シーズン1の二話目もそうでしたが、正直微妙、だったかな? 原作ファンをニヤリとさせるテイストは盛りだくさんだったんですけど、ストーリーがいまひとつというか、描写が判りづらいというか。 以下、ちょっと辛口なので、要注意です。
とりあえず、初っぱなから銛を片手に血だらけで登場するシャーロックには度肝を抜かれました。その格好で地下鉄に乗ってきたって(笑) そして血まみれである点にはあんまり動じていないっぽい、ジョンの慣れっぷりが微笑ましいです。 事件はないのか! 今朝片付けたばかりだろう!? という会話はお約束。 タバコを探してスリッパをひっくり返すシャーロックとか、「七パーセントの……」という台詞はファンサービスでしょうvv ……ただ、いくらニコチン切れで苛ついてたからって、ここでハドソンさんに辛辣な口をきくところはマイナスポイントです。前回ではあんなにハドソンさんに対して優しかったのに、またこれ? みたいな。っていうか、さすがに今回は「人の気持ちが判らなくてストレートに言っちゃう、うっかりさん」というより、明らかな悪意が感じられたよ……それとも前回の事件は開始から終結まで一年間ぐらいかかってたみたいだから、その間に起きた事件という設定なんでしょうか。 同様のことは、中盤のジョンに対する台詞にも思いました。「僕に友達はいない」って、あんたシーズン1の二話目で「友達だ」ってジョンを紹介してるじゃん。途中で「僕に友達はいない……一人を除いて」ってフォローを入れてはありましたが、なんだか引っかかりました。 あ、気を遣って謝りまくってるふりして一服盛り、幻影に怯えるジョンをモニター越しに観察しているドSな部分は、別にかまわなかったです。うん、ホームズって元々こういう人だからvv むしろわざわざ手ずからコーヒー淹れてることに、びっくりしたぐらいでしたし。 今回は本当に、なんというかシャーロックのキャラクターにブレが感じられました。自分の見たものが信じられず、己の感覚に疑問を抱くシャーロック。ここまではまだ良い。しかし震えながら「僕は怖い」というあたりがどうも……台詞だけなら有りなんですけどね。震える手を見つめながら、むしろ珍しいもの(恐怖を感じる自分)を発見して喜んでいるというのなら納得できるんですよ。なのにそこで心配するジョンに逆切れして、追い出すのはどうなのかと……
そして結局、真相は薬による幻覚? 幼い頃に見た殺人現場を受け入れられず、心の内で作り上げた架空の魔犬??
正直に言って、私には受け入れがたい展開でした。 『バスカヴィル家の魔犬』は、本物の犬が存在したからこそのカタルシスだったと思うんですよ。霧を割って登場する、燐光を帯びて光る巨大な犬。あの光景こそが、バスカヴィル〜最大のインパクトではないでしょうか。 今回は確かに犬こそ登場したものの、それは噂に便乗した客寄せ用の単なる大型犬。しかも殺すことなく逃がしてしまってそのまま放置って、それは危険すぎるでしょう。
他にもジョンが研究所で犬の幻覚を見た理由が、明らかにされていません。シャーロックがこれだと予測していた砂糖がハズレだったということは、そこに説明できない不可解な点が残ってしまったということ。もともと戦場帰りでカウンセリングを受けていた前歴のあるジョンが、理由もなく幻覚を見るという展開にしてしまっては、彼が回復しきっていない = 探偵譚の記録係としてふさわしくないという結論につながってしまうのではないでしょうか。謎を残したまま良しとするのも、「あり得ない事実をすべて除外すれば、残されたものがどれだけ不条理だとしてもそれが真実」とするシャーロックとしては、どうも消化不良。目撃者が語る証言はすべて真実であるという、推理ものの大前提が崩されてしまっている。これでは論理を重んじるホームズ物ではなく、憑き物落としの京極系メタミステリではありませんか?
H.O.U.N.D の文字にしても、なんで過去の殺人者はそんなロゴの書かれたシャツを着ていたの? プロジェクトで作成した揃いのTシャツ?? in と liberty にしても犬の絵にしても、機密プロジェクトに関わるそんな内容を、安易にTシャツにプリントして着て歩くか?? などなど、ひっかかった点が多かったです。もちろん、私の理解力が足りてない部分もあるのでしょうが…… 20年前の犯人の異様な姿が、毒ガス噴霧装置を避けるためにガスマスクをつけていたからだというのも、余所様のレビューを拝見するまで判りませんでした。むしろ正気を失った実験体の一人だと思ってましたよ。 現れた犯人に対して「お前じゃない」と言っているシャーロックの唐突さも(?_?) あれって、ジム(モリアーティ)の幻覚を見たからだったんですね…… 何度も繰り返されるヘンリーさんのバッドトリップといい、今回は描写が非常に判りにくかったと思います。 あと最初の「取るに足らない事件」である「光るウサギが消えた」と科学者のステイプルトンが繋がっている点にしても、前話で使われた手法がそのまんまですよね。偶然が重なりすぎで、ステイプルトンという名前だけで両者を関連づけたのだとしたら、シャーロックの推理も短絡だと感じられてしまいます。
……ううむ、どうにも辛口になってしまいます。 原作に思い入れが深い作品だから、つい細かいところが気になってしまうのでしょうか(−ー;)
視点を変えてニヤリとした部分を上げてみると、まず悶えたのは、結果的に一服盛ったとはいえ、前夜怒らせてしまったジョンの機嫌を取るために「君は凡人だけど天才を光らせることができるんだ」的なことを言ってみたり、後を走って追っかけてみたり、手ずからコーヒー淹れたりソースを選んだりしてやる、シャーロックの一生懸命さ。なんだよもう、そんなに暴言吐いたこと後悔してたの? そしてジョンを相手だと、そうやって御機嫌取っちゃうの。やっぱりジョンが唯一無二の特別な存在なのねvv と腐った萌えが炸裂しました。だってしょうがないじゃない、腐女子なんだもん。 そして賭博好きと見抜いた相手に対し、賭をしていると装って情報を聞き出すところとかもなかなか。これは「青い紅玉」からでしたっけ。事前打ち合わせもなんもなしに、いきなり阿吽の呼吸でお芝居する二人がいい感じでしたvv あと、今回はジョンのお役立ちぶりが半端なかったですね。さりげなーく酒場で伝票の内容をチェックしていたり、関係者から話を聞き出したり。そうか、このためにカウンセラーは女性になったのかvv 今シリーズのジョンは本当に女性関係が多いですよね。確かに「女性は君の担当だ」って台詞、原作にもどこかにありましたよね(笑) 軍施設に潜り込んだ際に、口八丁で相手を騙くらかす様など特に素敵でしたvv しかしジョンは既に退役してるんじゃないの? 見せてた身分証明書みたいなのは何だったんだろう……?? 地図を片手に双眼鏡覗いて地理を確認しているシーンといい、前話でシャーロックに絞め技かけてたあたりといい、このシリーズのジョンは軍医というよりも、そのまま『軍人』という雰囲気です。小柄なのにすごくタフガイっぽっくて。そうそう、モールス信号を読み解くシーンも格好良かったです。あれは「ダートムアからランプで信号を送るセルデン」がモチーフでしょうか。しかしあの車の集団は何だったんだろう? 集団デート?? そして犯人の最後も、底なし沼に沈む → 地雷で自滅というのは現代版らしい見事な改変だと思いました。 地名やキャラクター達の名前が、原作に準拠したそれだったあたりも、原作好きとしては、台詞を聞いているだけでワクワクしましたね。人間関係があえて変えてあったのは、原作ファンに対するミスディレクション? 女性キャラが増やされていたのも、現代版ならではでしょう。 そして今回も、ごく自然にゲイカップルからお仲間認定される二人……(笑)
さて、今夜の放送はシーズン2最終話「ライヘンバッハ・ヒーロー」。 やはりまたもクリフハンガーで終わるのでしょうか。予告編によると、シャーロックが逮捕されたりとかする様子。これはレストレードと打ち合わせた上での茶番なのか、それともジム(モリアーティ)による陰謀なのか。どっちにしろジョンは事情を把握できないまま、オロオロさせられることになるんでしょう。 そして高所から飛び降りるシャーロック……ううう、気になる。気になるけれど、また見られるのは何日か先になるんだろうなあ。
あ、ジムと言えば、最後にどこかから釈放されていたのはジムなんでしょうか。顔の見分けがつきませんでした(−ー;) 壁中に SHERLOCK と書きまくっている粘着質なあたりはジムっぽいけど、あの男がそう簡単に当局に捕まるとは思えないしなあ。 それとも前回のベルグレービアの関係で、アイリーンの証言により捕まっていた? その程度の玉とは思えないんですが……まあそのあたりは、次回のお楽しみと言うことで。
追記: 余所様のブログを読んでいて知りましたが、現代版シャーロックは発達障害(?)が公式なんですね。 吹き替えでは「同じ顔ぶれの方がいいんじゃないか。彼は、その……」と言うレストレードに対し、「ああいう性格だから」と訳されていたジョンの台詞、英語では「 Asperger's 」とはっきり断言されているそうで。 だからどうしたという話ではあるんですが、個人的にかなり興味深い設定だったので追記メモしておきます。
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No.3978
(映像)
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この記事へのコメント
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iwamoto
2012/08/06/08:46:12
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仰ることよく分かります。 張り切り過ぎというか、おふざけが過ぎるとか、プレッシャーがかかり過ぎとか。 ガチャガチャしてますよね。 グラナダテレビの本作は完成度が高かったですから。
最終回見ました。 最後の大きなトリックへ到る仕掛けが簡単過ぎるという感じがしましたが、これって、説明し損なうと面倒だよな〜、とは思いました。
十二国記は見返していくと、沁みるように話が分かります。 ちゃんと説明されてる、なぁって。
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No.3982
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神崎真
2012/08/06/22:51:08
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脚本はシーズン1の1話と3話を担当された方だと聞いていたので、ちょっと期待のハードルが高くなっていたのかもしれません。 なんというか、マニアの自己満足が高まりすぎて、ちょっと空回り気味の印象が。 小ネタを散りばめられるのもおもしろいけれど、でももう少し原作を知らない人でも楽しめるような、単体の推理物としてクォリティを高めて欲しかったです。
グラナダ版は傑作ですよね。この私に中古とはいえ DVD-BOX を買わせたぐらいです。 ああ、ジェレミーで「緋色の研究」が見てみたかった……
> 最終回 ご覧になりましたか。私はなんだかまた宙ぶらりんになるのが怖くって、なかなか再生する覚悟ができません。三話揃ったのでHDDからディスクに移せたし、今度はポータブルプレイヤーでゆっくりと、もう一度バスカヴィル〜を見返してみようかとか思っています。
> 十二国記 見ていて満足できる作品って良いですね。 最近、なかなかそういったものに出会えなくなってきたように感じられます。これは私の重箱の隅つつきが激しくなってきたからなんでしょうか……
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No.3985
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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