2012年07月24日の読書
2012年07月24日(Tue)
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本日の再読図書: 西多摩の一角にできたニュータウン。石津がそこにマンションを買って引っ越しし、片山と晴美とホームズを休日に招いた。石津の目論見としては、やはり晴美へのアプローチが根底にあるようである。 ところがマンションの眼下にある公園で、子供が溺れるという事件が起こった。直前に警察へ「子供をつき落とした」と犯人からの電話があったことからも、ただの事故ではありえない。地元の警官 林田の話では、ここしばらく団地内では子供が危険な目に遭う事件が相次いでいるとのことだった。団地に住む元刑事の老人 上野は、それを開発に取り残された村の地主のドラ息子 石沢常夫の仕業だと決めつけ、彼の住む家 ―― 通称猫屋敷へと乗り込んでゆく。心配した上野の娘 絹子の知らせで後を追った石津と晴美は、そこで無惨に斬り殺された常夫の母 常代と十一匹の飼い猫の死体を発見した。 上野もまた死体で発見され、一件は違う人間を殺してしまった上野の自殺で片がついたかに見えた。 しかし事件はまだ続いた。常夫の名で呼び出された絹子が暴行され、恋人の林田警官が怒りにまかせ飛び出してゆく。そして常夫は警官の銃によって射殺されたが、林田も他の犯人も警察の捜査網には引っかからなかった。 さらに猫屋敷のある村では、喉を獣に食いちぎられたかのような死体が発見される。それは常代に対し、持っている土地を不動産に売って一帯を開発・発展させて欲しいと嘆願していた、村人達の代表格だった。常代は猫の住処がなくなるからと土地を売ることに反対しており、村人や息子と対立していたという。 新たに浮上してくる動機らしきもの。そして随所で目撃される不気味な赤い猫。 村人達は夜ごと聞こえる猫の鳴き声に異常なほど怯えを見せ、入院している絹子は、無意識にか病院を抜け出しては、まるで猫にとりつかれたかのような振る舞いを見せる。 事件全体をとりまく奇怪な雰囲気に、どうしようもない気味悪さを感じる片山達だったが……
シリーズ三作目。 事件に関係ないエピソードばかり覚えていて、肝心の犯人なんかはすっかり忘れておりました(^ー^;;) 完全に片山・晴美・ホームズ・石津体制が定着した今回。鑑識の人も、猫が死体を嗅ぎ回ることをあっさり容認し、それどころか『助言』に従って検査を行っております。ありえねえ(笑)
それにしてもこの作品は、トリックと言うほどのトリックは、そんなになかったと思います。目覚ましのベルを使って、電話がかかってきたと偽装するぐらいですかね。いまならポケット内の携帯から短縮発信とかできるんでしょうけど、なにしろ30年前の作品ですからね……ほんとに携帯がないというだけでものすごく不自然に感じられます。晴美が林の中で穴に落ちて、危うく生き埋めに! というピンチも、携帯さえあればすぐに助けが呼べるはずですし。 多摩丘陵なら、電波が届かないってことはないだろう…… むしろ今作のキモは、とにかく猫。 最初から最後まで、猫達の不思議に振り回されたお話でした。今回片山に言い寄るヒロイン立子さんの謎といい、白猫「琴」のホームズに劣らぬ賢さ、そして最後に犯人を追いつめる生き残りの猫達の行動。 ミステリーというよりも、むしろファンタジーの要素が多い話運びではないでしょうか。 〜追跡の黒猫ジョンもかなりスレスレでしたが、やっぱりホームズの『特別さ』を際だたせるためにも、人間離れした猫は彼女だけにしてほしいところです。
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No.3929
(読書)
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この記事へのコメント
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iwamoto
2012/07/24/23:03:00
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三毛猫アミちゃんは、暑くて倒れています。
このホームズさんは女探偵さんなのですか。 御高名は轟いていますが、詳しく存じません。
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No.3930
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神崎真
2012/07/25/00:14:14
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あやや、毛皮が標準装備な彼らの体感温度がどうなっているのか、人間にはとても測り知れませんが、どうか熱中症とかにはならないようお祈りしておきます。
このホームズは、最初の飼い主曰く「腫瘍ができて子宮の摘出手術をして以来、何やら思索にふけることが多くなった」というミステリアスなキャラクター。 人の言葉こそ話せないものの、彼女なりの道義をもって、恩人であり二人目の飼い主となった片山刑事を助けてくれるのです。その立ち振る舞いはとってもクールでスマートvv モデルは作者さんが実際に飼っておられた三毛さんだとか。そう思うと、作者さんの猫に対する愛情が伝わってくるような気がします。
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No.3931
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paoまま
2012/07/25/09:33:30 [HOME]
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まこっちゃんおはようさんでごじゃります。 昨日のショックから徐々に立ち直りつつ・・・デス。
三毛猫ホームズですか。 わたしねぇ、実は赤川次郎ってほとんど読んだ事ナイんよー。 いやそれがつまらん理由でサ、ほら赤川次郎って一時売れっ子も売れっ子の作家さんだったでしょ。 タイプ的にはライトな感じの推理小説家さん。 だもんで、松本清張や司馬遼太郎が本棚にズラ〜っと並んでいた家で育ったわたしからしてみると、ちょっとミーハーに見えたんだと思うわ。 それと、わたしの嫌いな子が赤川次郎のファンだったってのもあったかな? わたしもまだ子供だったしね、生意気な頃ですヨ。 なので、あえて赤川次郎は読まずに今日に至ってしまいまった。
でもひととし取ってわたしも人間の角が取れて参りましたからネ、(脳みそのシワもとれつつあるこの頃)三毛猫シリーズ読んでみよっかしら。 まこっちゃんの解説もついてるしサ。
なにより良さ気なのは、赤川次郎の文庫本ならどの本屋さんへ行っても確実にありそうだもん。 この前のメディアワークスのような目にはあいますまいてぇ〜
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No.3932
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神崎真
2012/07/25/20:05:14
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私も赤川次郎を読んでいたのは、小中学生の頃だけでしたね。 当時、誕生日にプレゼントされたのがきっかけで、この三毛猫シリーズと吸血鬼シリーズをメインに読んでいました。 その後、おっしゃるとおり売れっ子になってからは、なんだか離れてしまったのです。
今回はTVドラマの第一話を見て、「こんな話だったっけ……?」と思い、読み返し始めました。子供の頃の刷り込みがあるせいか、ちょっと無理な部分も私はあまり気になりませんけれど、現代の大人がイチから読むのは、ちょっと辛いかもしれません。かなりフィクションの度合いが大きいので。
いちおう個人的おすすめをあげると、前述の三毛猫ホームズと、コバルト文庫の吸血鬼シリーズの初期作品でしょうか。 三毛猫ホームズの刊行順作品リストについては、6月7日の日記にメモしてありますので、よろしければご参考に。
……ところで「騙王」は無事届いたんでしょうか(苦笑)
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No.3933
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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