よしなしことを、日々徒然に……
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 2012年07月06日の読書
2012年07月06日(Fri) 
本日の初読図書:
4062772213猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち (講談社文庫)
大山 淳子
講談社 2012-03-15

by G-Tools
百瀬太郎は、東大を主席で卒業し大手弁護士事務所に就職した、新進気鋭の若手弁護士……だったはずが、とあるペット訴訟を受け持ったことがきっかけで事務所を辞めて独立する羽目になり、三十九になった現在は零細事務所の所長となっていた。
百瀬を含めて三人しかいない事務所の中には、依頼に関わった末に行き場をなくした猫たちが、11匹もたむろしている。つど里子に出してはいるのだが、減る端から増えていってしまうのだ。
頭は抜群に良いし、手がけた弁護はたとえ負けても何故か依頼人も百瀬も笑顔という結果に終わるので、けして腕は悪くない。しかしもじゃもじゃ頭に安物のスーツ、ひょろりとした身体つきに古くさい黒縁眼鏡とどこまでも冴えない容貌の百瀬は、どうにも雰囲気が頼りなかった。気弱な上にお人好し。採算度外視で走りまわることもままあるため、事務所の帳簿も火の車だ。
そんな百瀬ももう良い歳だし、そろそろ身を固めたいと切望している。しかし意を決して結婚相談所に入会したものの、紹介されたお見合いは三年間で三十連敗。
仕事ではペット専門の弁護士「猫弁」と揶揄され、プライベートでは婚活惨敗中。
そんな彼のもとに、珍しくペット訴訟以外の依頼が持ち込まれた。大企業シンデレラシューズ会長の葬儀中、棺が霊柩車ごと盗まれたのだという。犯人は遺体の身代金を要求してきている。会長の息子である社長が、その交渉のアドバイザーになってほしいと依頼してきたのだが……しかし、実はその葬儀の裏にはとんでもない秘密が隠されていた。
ペット専門の弁護士、汚いガード下で靴磨きを営む謎の老婆、大手企業の社長と美人秘書に、弁護士事務所の職員達、大阪から出てきた二人のお笑い芸人や結婚相談所の担当者、タクシー運転手などなど、様々な人々が関わり合い、すれ違い。やがて組み上げられるパズルが描き出すのは、はたしてどのような絵柄なのか ――

コピーいわく、笑いあり涙ありのハートフル・ミステリー。
以前ドラマで放送していたのを横からチラ見して、おもしろそう……と思いつつも、途中からだったので、ちゃんとは見ずにいたのですが。後日他局で放送する予定を見つけ、今度は録画してディスクに落としました。
しかしどうせなら原作を読んでから視聴したいところ。あいにく図書館にはなかったので……リクエストかけて入れてもらいました(てへ)<自分で買えよ
でもって、肝心の内容はというと、読んで良かった。おもしろかったですvv
紹介文を読んで予想していた、ほのぼの読切連作ではなかったことにいささか意表をつかれつつ、また主役の百瀬さんより脇キャラの方がずっと活動的かつ魅力的だったのにも肩すかしを食いつつ、でも楽しく読めました。
とりあえず、格好いいご老人(三千代婆さんと梅園大家さん)が出てくるお話は大好きです。
そして御都合主義でもなんでも最後はハッピーエンド推奨派としては、関係者ほぼすべてがそれなりの幸せを掴めたのが嬉しいですね。
視点があっちこっちに移動しまくるのが、正直ちょっと読みにくかったですけど、まあ慣れればそこはなんとか。文章表現が独特(ウ●チ → チョコレート色の軟体物質とか)なのも、慣れると楽しいです。
しかしお笑いコンビ木村田村の無知ぶりは、読んでいて少々痛かった。でもまあ、幸せになってくれたからそれも良し。
あとは……個人的に大福さんの行動だけは、かなり引っかかりを覚えました(−ー;) この人のために、百瀬さんはどれだけの金と時間をどぶに捨てつつ、見合いを断られまくって人格を否定されるような思いをしたのか……それを思うと、あれでめでたしめでたしと言うのは、ちょっと虫が良すぎないか? と。まあ、百瀬さんがそれで良いのなら良いんですけどね(苦笑)

番組をチラ見して得た印象と、小説を読んで感じたイメージがかなりしっくりくると思っていたら、原作者さんがそのままドラマの脚本も書かれたのだそうです。それってメディアミックスの理想ですよね。ふふふ、ちゃんとドラマを見るのが楽しみ〜♪
No.3874 (読書)

 
 この記事へのコメント
 
paoまま  2012/07/07/17:28:58 [HOME]
猫弁とな?イイなぁーーウチも猫事務所になりたーーい。

でも猫の毛ってPCのある環境には悪いデス!
頭では分かっていたのですが、実際に抜け毛の季節に毛の塊があっちをフワフワ、こっちをフワフワしているのを見ると・・・

おまけにわたしがあまり掃除が上手くナイ方だし・・・
百瀬さんとこみたく猫が何匹もいたら幸せだろうな・・・???

いやいや猫飼うのもせいぜい3匹、4匹までで、それ以上だと変わり者だそうです。
 
No.3876
 
神崎真  2012/07/07/18:26:49
癒されそうですよねえ(うっとり)<猫事務所
でも確かに、お掃除や個々のお世話は大変そうです。作中でも事務員さんが「私は事務員なんです。猫の世話係じゃあありません」と、プンスカしながらエサやりとか猫トイレの掃除をしていました。ましてや11匹分の抜け毛なんて、一体どんな量になることか(汗)
私のようなものぐさは、やはり友人の家か猫喫茶にでも行って、美味しいとこどりで癒されてくるのが相応かと。

> それ以上だと変わり者
百瀬さんがリストラされるきっかけとなった訴訟は、何十匹と猫が集まる猫屋敷のお婆さんと、悪臭や猫の害に悩まされる近隣住民とのトラブルを扱ったものでした。
そんな訴訟を丸二年もかけて、こつこつと絡まった感情を解き、お婆さんも住民も数十匹の猫たちも、すべて幸せになるように解決してくれた百瀬さんは、世のすべての猫好きにとって神様のような人だと思います。現実にそんな弁護士さんがいてくれたら、本当に素晴らしいですよね……
 
No.3877

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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