よしなしことを、日々徒然に……
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 2012年06月26日の読書
2012年06月26日(Tue) 
本日の初読図書:
4048741829県庁おもてなし課
有川 浩
角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-03-29

by G-Tools
高知県庁観光部に、「おもてなし課」が発足した。観光で県を盛り立てることを目指し、県外からの客を文字通り「おもてなし」するというのがそのコンセプトだ。
しかししょせん彼らは公務員。独創性と積極性をもって企画を立案してほしいと言われても、どうして良いか判らないし、前例のないことには無条件で腰が退ける。とりあえず他県にならって県内出身の有名人を『観光特使』とし、県内施設の無料クーポンを兼ねた名刺を配ってもらうなどしてみるが、しょせんは二番煎じの企画。しかも練り込みが足らなかったり役所特有の融通の利かなさ、民間側との感覚の解離などから問題が続出し、わずか一年で企画は凍結となってしまう。
そんななか『観光特使』のひとりであった小説家 吉門は、企画を持ちかけた当初から、予想される様々な問題点をグサグサと容赦なく指摘してくる存在であった。しかし手厳しく耳に痛いことを言いながら、それでも彼はおもてなし課を見捨てることなく、一年以上付き合い続けてくれたのだ。そんな吉門の担当であった入庁二年目の掛水は、人当たりのきつさにへこみながらも、めげることなく助言に耳を傾け少しでも役に立てようと努力を続けていた。
そしてある日のこと、吉門の口から出た言葉が『パンダ誘致論』だった。調べてみると、それは二十年以上前に県庁で唱えられた地域振興プランらしい。前例のない革新的な計画だったが故に、進めようとした男は閑職へと追いやられ、最終的に辞職する羽目になったのだという。しかし同様の計画が数年前に採用された結果、兵庫県では現在多くの利益が上がっていた。彼はけして間違っていなかったのだ。
もしその計画を唱えた男に会えたならば、チマチマしたテコ入れとはスケールの違う観光構想を持っているだろう。そのアドバイスを受け入れる度量を、県庁は持っているか? と吉門は問う。
そして紆余曲折の末、掛水はその男 ―― 清遠を探し出し、県庁へ招くことに成功する。そこで清遠が披露してみせたのは、『高知県まるごとレジャーランド化』という、まさにレベルの違う壮大な計画だった。
掛水、吉門、清遠らの出会いと交流は、彼らの人生とそして高知県そのものの未来さえも変えてゆくこととなる ――

去年の10月に図書館で予約したものが、やっと順番まわってきました! 後ろにも予約が詰まっているので、貸し出し延長は効きません。きっちり期限内に読み切らねばと思いつつ、なかなか手が出せなくて焦りましたが、読み始めたらあっという間でした。途中で用事さえ入らなければ、昨日一日で一気に読めたと思います。
正直、最初はいささか辛かったです。グダグダな「お役所仕事」しかできない掛水さん達に、吉門さんが投げやりな口調で告げる容赦のない駄目出しとか、就職できずになんとかコネでバイトにすべり込んだヒロイン多紀ちゃんの悩みとかがリアルに突き刺さってきて。
けれどそこはやはり有川さん。格好いい先達 清遠さんが出てきたあたりからがすごかった。彼の持つインパクト、吸引力にぐいぐい引き込まれて、気がついたら夢中でページをめくってました。
そして『地域観光』についてきっちり調べられて、フィクションとは思えないほどに練り込まれたあれやこれや。
『全国で47番目に有名な県』としては、まったく他人事ではありません。
出雲大社や松江城に隠岐の島、かの白イルカ水族館アクアスに石見銀山などなど、素材はあるのに生かし切れていないなあと感じるマイナー県在住者には、県庁って本当にこんなに駄目駄目な役所なんだろうかと、ちょっと心配になっちゃったりも。

でもって有川さんお得意の、ほのかな恋愛風味も絡めつつ、視点はいつしか掛水から吉門へ移ったり戻ったり。最初は頭の回転が良くて、口が悪くて、掛水の何歩も先に行きつつふり返って待ってくれていたような吉門が、いつの間にか義理の妹との恋に悩んで掛水に愚痴をこぼしたり。え、なに、吉門こんな可愛いキャラだった?? みたいな(笑)
いやほんと、最初の電話とメールだけでやりとりしていた頃なんて、意地の悪い小太りのオタク系でイメージしていたので、もうギャップの激しいこと。そうか、これがギャップ萌えかvv

あと巻末には、実際に存在する高知県のおもてなし課との対談も収録されています。
No.3855 (読書)

 
 この記事へのコメント
 
paoまま  2012/06/28/14:53:53 [HOME]
オモチロそうですねぇ・・・
まこっちゃん、さすが物書きさんだけあって本の紹介がすっごいお上手やわぁ〜

イカン、まこっちゃんに乗せられるとこの先ナンボ本代かかかるんじゃろうかぁぁ。
あんまり本の紹介して欲しくないような、して貰いたいような・・・

まこっちゃんは本屋さんで本の紹介コーナーを持たせて貰ってはいかがザンス?
まこっちゃんのイントロで絶対本を読みたくなり、本を買う人が急増すると思うワ。

で、そのかわり本屋にある本読みたい放題!

どう?どう?まこっちゃん?
 
No.3856
 
神崎真  2012/06/28/18:26:00
pao まま様いらっしゃいませ〜〜♪
そう言っていただけると照れちゃいます(*^.^*)
基本的に読んでおもしろい! と思ったものを布教しているので、ここを見てその作品を手に取ってもらえたら冥利に尽きますvv
この有川浩さんの作品群は特にオススメですよ。基本的に恋愛モノはほぼ読まないこの私が、図書館に置かれている分はほぼ読み尽くしちゃいましたもの。
イチ押しは映画にもなった「阪急電車」とか、学生時代の若気の至りを懐かしく思い出しちゃう「キケン!」、かっこいい還暦オヤジどもに惚れ惚れできる「三匹のおっさん」あたりでしょうか。

> そのかわり本屋にある本読みたい放題
いいですねえ、それ(うっとり)
そんなお仕事あったら、大喜びであれこれ読みふけっちゃいます。
 
No.3857

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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