2012年05月31日の読書
2012年05月31日(Thr)
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本日の初読図書: 悪政によって大陸全土を支配したオーランド国を倒すため、連合軍を率いたジョセフ・フェルモント将軍。彼はふらりと戦場に現れた謎の少年を配下に取り立て、重く用いた。名すら持たなかったその少年は、初陣にして敵兵の首を刈り尽くし、取った首級を並べて地獄絵図を作り上げた。返り血を浴びて楽しげに笑う凄惨なその姿から、人々は彼を恐れ「首なし騎士」と呼んで敬遠した。 やがてオーランド国は破れ、ジョセフ将軍はフェルモント国を建国、初代王となる。その傍らには常に首なし騎士が忠実に立ち続けた。 それから七年。 建国の英雄ジョセフ・フェルモントは二年前に没し、現在はその息子ヘンドリクスが王位を継いでいる。しかしアルベルト・ホースマンと名づけられた首なし騎士は、現国王に一片の忠心も抱いてはいなかった。彼の主はあくまで亡き先代であり、他の誰もアルベルトに命令することはできなかったのだ。 気に入らないことは絶対にやらず、上にも下にも容赦なく刃を向け、すれ違っただけでも首を刎ねる。さながら抜き身の刃、鞘をなくした妖刀、狂犬。そんな風評をまとうアルベルトを持て余した現国王は、まるで嫌がらせのように下らない命令を下しては、にべもなくはねつけられていた。 そんなある日のこと、外出嫌いで書庫に引き籠もり読書ばかりしている変わり者と名高い末の姫シャーロットが、父王の命で狩りに出かけることとなった。その護衛を命じられたアルベルトは、なんの気まぐれか今回は付き従ってくる。そしてオーガに襲われるというアクシデントを経て、なんとか無事王宮まで戻ってきたところで、いきなり彼はシャーロットの護衛騎士になると宣言したのだった。 曰く「王としての資質を見定めたいから」、と。 なんでもアルベルトは、亡き先代から遺言を託されていたのだという。それは次の国王に相応しい人物を彼の目で見定め、再び忠誠を誓ってもいいと思ったその時は、王位継承の証である“クラウン”と共に隣に並べというものだった。 それは即ち、現在の国王はもちろん、第一王子レイフォード、第二王子クローヴィスの三人ともが、王たるに値しないと宣言したも同様で。 誰よりも王族らしくない、フェルモント家の突然変異と呼ばれ疎まれてきたシャーロットは、危険人物に目をつけられたことへの恐怖と、そして困惑ばかりを覚えるのだが ――
長らく積んでいたのを、「騙王」に引き続き中世風FT読みたい熱で手を伸ばしました。 普通におもしろかったです。 シャーロットが読書好きで、歴史書読んで過去を調べたり、口伝集をおとぎ話と切って捨てたり、王冠なんてただの金と宝石の塊で政治の役になど立たないとか言ってたりするので、魔法の類の絡まない歴史風小説だと思って読んでいたら、途中でどんでん返しが。 っていうか、シャーロットが最初にやった『祖父の声真似』って、ほんとに単なる物マネにすぎなかったのね……(苦笑)<彼女の“声”ならそれで良かった 鉄面皮でマイペースな俺サマ一匹狼が、これと認めた主人にのみ忠誠を捧げるという設定は大好物です。最初はジジイと少年、次は姫と青年。ふふふふふ、作者様は判ってらっしゃるvv 狂気の笑みを浮かべながら、戦場で首を刈る首なし騎士様は格好良すぎます。 そして妹のためならば、文字通りなんでもやっちゃう第一王子も素敵ですvv 本編でも語られていますが、第一王子が結婚するとしたら、奥さんは苦労するだろうなあ。いっそ夫と一緒になって、シャーロットを溺愛 ―― いやむしろ取り合いするぐらいの人じゃないと、釣り合いが取れないんじゃないかと。 そして新たな主の『隣に並ぶ』事になったアルベルトは、やっぱり将来的に……なんでしょうか。なんだかんだ言いつつ、最終的には尻に敷かれちゃう力関係を希望しますvv
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No.3798
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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