2012年05月05日の読書
2012年05月05日(Sat)
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本日の初読図書: 吉見家の事件で満身創痍となった霊能者たちは、そのまま半月ほども能登に滞在し、それぞれに傷を癒していた。吉見家の人々も彼らと過ごすことで、精神的な痛手を少しでもやわらげられるようだった。 が、それも終わり、一同は東京へ向かって出発した。そしてその途中、偶然道を間違えたことで、事態は驚きの展開を見せる。 ダム湖のそばで車を止めさせたナルは、しばし呆然と景色を眺めたのち、リン以外の全員に自分達を置いて帰れと告げる。さらに続けられた言葉に、麻衣は愕然とした。 「オフィスは戻り次第、閉鎖する」と ―― 突然の廃業宣言に戸惑う一同は、それでもこのまま放ってはおけないと、そろって近くのキャンプ場へ泊まることにした。 ナルとリンは、どうやら湖に沈んでいる……噂によれば「死体」を探しているらしい。渋谷の事務所は、もともとその為だけに開いたのだと。 そしてただダイバーの作業を見守るしかない彼らの元へ、地元町長から依頼が持ち込まれた。なんでも近くの廃校に幽霊が出るという噂があるから、調査して欲しいというのである。確たる根拠もないつまらない噂の類にしか思えなかったが、時間を持て余していたためか、ナルは受けると返答した。 渋谷サイキックリサーチの、これが最後の調査となるのか。 複雑な思いで向かった先で麻衣達を出迎えたのは、町長達の話とは裏腹な恐ろしい怪異で……
シリーズ読了! はー、感無量ですな。まだ携帯電話すらない時期に書かれた小説を、よくもまあここまで書き直されたものです。小野先生、本当にお疲れ様でした。 ちなみにリライトという点では、個人的にこの巻が一番成功だったのではないかと思います。分量的なことからか、大幅な書き足しがなかったというのもあるのでしょうが。過去の大事故や起きている怪異については内容を詳細にしつつ、さらにナルがその事故を知らない=当時日本にいなかったなどの細かい部分をフォローされていたのは、普通に歓迎できました。 そして一番の改変部分は、例の謎解きを事件後にぼーさんが立て板に水の如くまくし立てるのではなく、つどつど情報を小出しにしつつ、最終的に麻衣が自力で結論にたどり着くという構成にされたこと。これは賛否両論あるようですね。私としては……まあ良かったんじゃないかと。旧版では謎解き部分でシリーズ全体の印象ががらりと劇的に変わったカタルシスも素晴らしかった分、逆に言えばそこだけちょっと浮いてましたから…… 正直ぼーさんの見せ場が減ってしまったのは、とってもとっても悲しいですが(しくしく) ところで前から疑問だったんですけど、ぼーさんが階段でナルに独鈷杵を投げたのは、これでサイコメトリしろってことだったんでしょうか??
一人でも恋はできると結論づけた麻衣の決心は、いま読んでも複雑なものがあります。でもまあこれはこれで、滅多に見られないタイプの結末だということで。 「悪夢の棲む家」をリライトに含めなかったのは、やはりそのあたりの意外性を印象づけるためなんでしょうか。リンさんの片目が青眼だとか、あっちはあっちで興味深い情報満載だったんですけどねえ。 ……ってそう言えば、「日本では加害者の霊が出ない」っていう蘊蓄、「悪夢の棲む家」どころかリライト版5巻「鮮血の迷宮」にさえも、まっこうから逆らっているような……(汗)
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No.3742
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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