よしなしことを、日々徒然に……
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 2012年04月15日の読書
2012年04月15日(Sun) 
本日の初読図書:
「後の巌窟王(近代デジタルライブラリー)」アレクサンドル・デュマ、高桑良興訳
 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871850

西暦一千八百三十九年四月五日。
仏蘭西ふらんす巴里パリーを訪れた英国貴族の青年 羽鳥卿は、友人となった新聞記者の猛田猛と砂田伯から先年一大事件を引き起こした、巖窟島いわやじま伯爵の活躍を聞く。その素晴らしい話に魅せられた彼は、ぜひ伯爵本人に一目会ってみたいとヤミナーに向かうことにした。今の伯爵は、父の後を継いで即位した鞆繪ともえ姫と結婚し、ヤミナーに暮らしているのだという。
いっぽう伯爵の復讐によって没落した段倉男爵夫人張子は、現在では賭博宿の女主人へと身を落としていた。そこでは牢から釈放された辯太郎が、実の母と共に働いている。その宿へと、かつて伯爵に命だけは助けられたが、あまりの辛苦により半ば白髪化させられた段倉が転がり込んできた。三人は今の零落をひどく恨み、伯爵に対して復讐をしようと話し合う。もっとも伯爵自身にはとても手を出せる気がしない。ならば彼が深く愛している者 ―― すなわち森江眞太郎とその新妻 華子、そして元野西子爵の妻子 露子と武之助に手をかけてくれよう。ただ殺すだけではなく、じわじわと苦しめてなぶり殺してやれば、伯爵にはさぞや応えることだろう、と。
さっそく暗躍を始めた三悪。段倉は武之助を陥れるべく、金に物を言わせて彼が兵役につく亞非利加アフリカへ上官として赴任した。張子は露子を悲しませようと、親しげに接近してその耳に親切ごかしの毒を吹き込む。
そして辯太郎は密輸業者を装って眞太郎を襲撃し、蜜月先の別荘から拉し去った。そこには今も巖窟島に隠されているだろう宝物を、横取りしてくれようという目論見もあったのである。
さらに夫が消えて悲嘆にくれる華子をも、病院から脱走してきた狂人 蛭峰が誘拐してしまう。偏執的な愛にとり憑かれたこの父親は、もはや娘への異常な執着しか持っていなかった。
大切な友人達の苦難を聞いた巖窟島伯爵は、彼らを救うべくヤミナーを発つことにする。長くなるだろうその不在の間、鞆繪姫を守ってくれるよう、客人の羽鳥卿にあとを託して。
羽鳥卿は鞆繪姫に対して熱烈な恋情を抱いていた。しかしそれを知っていてなお、伯爵は彼に妻をまかせることにする。恋する人ほど神聖に、忠実にその相手を保護してくれる人はいない。英国紳士である羽鳥卿は、きっと獅子の口をも恐れぬ勇敢さで妻を守ってくれるだろう、と言って。
そうして出立していった伯爵を見送った羽鳥卿だったが、その心は苦しい恋によって千々に乱れて ――

昨夜、布団の中で読了@シグ3。白黒二階調のスキャニング画像でしかもページ焼けしまくりだったので、かなり目に厳しかったです。
現在に至るまでほぼ再翻訳されていないみたいだし、この翻訳は完全に絶版だしで、ほんとテキスト化してサイト公開したいぐらいなのに、著作権が……まだ切れていないだけなら希望が持てるところを、訳者の没年も著作権保有者である遺族の所在も不明だなんて……(しくしくしく)<頼みの著作権台帳にも載っていなかった
まあそれはさておき。
派生作品ではなく、デュマ本人が書いた(だろう)巖窟王の続編です。そして翻訳というより翻案。やはり明治時代に訳されたもので、↑で書いている通りキャラクターの名前などは、黒岩涙香のものに準拠しています。前書きを涙香さんが担当しているので、そのあたりはご本人も了承済みの模様。固有名詞の一部がカタカナかつ傍線つきになっていたのがちょっと違和感でしたけど、それ以外は涙香さんの名文調に近かったかと。
で、肝心の内容ですが。
なかなか面白かったです。前回は復讐者であった伯爵が、今回は逆に復讐される側。眞太郎や武之助に次々と向けられる魔手に、読んでいる方としてはハラハラさせられました。
特に気になったのが、伯爵不在時の鞆繪姫と羽鳥卿。もうね、読んでいる途中で「こんなの鞆繪じゃない!」と思わず投げ出しそうになったぐらいです。最終的に鞆繪姫はちゃんと鞆繪姫だったので、ばっちりデュマに踊らされていた訳なんですが……でもこれちょっと羽鳥卿が可哀想かも。伯爵、貴方はいったい何がしたかったんですか……
あと夕蝉と網里女史のその後もちょっとひっかかります。あなた方、女同士で駆け落ちしたんじゃなかったんですか? 本当にそれで良いの、特に網里女史?? と思ったりも。
でもまあ、全体的にはおもしろかったです。よく「続編は本編を越えられない」、「本編のイメージを壊したくないなら、読まない方が良い」と言いますが、この作品はそこまでひどくはなかったと思います。
……まあ、あれだけ格好良く去っていった伯爵が、早々に眞太郎の結婚式だからと戻ってきたりとかしたのは、いささか苦笑ものでしたがね……でもメルセデスと元鞘だったり、アルベールが伯爵の実子になってたり、ヴァランティーヌが生き返らなかったりする超翻訳やメディアミックスよりは、よっぽど良いと思うんだ(遠い目)
そうそう、辯太郎は悪役ながらなかなか格好良かったです。悪人もあそこまで行くといっそあっぱれと言うか。ちょっとアニメ厳窟王の、キラキラしいベネデットでイメージしてみたりvv
No.3705 (読書)

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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