よしなしことを、日々徒然に……
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 2012年01月19日の読書
2012年01月19日(Thr) 
本日の初読図書:
4048737430クジラの彼
有川 浩
角川書店 2007-02

by G-Tools
いつ出港したのか、そして戻るのはいつか、さらにはどこへ向かったのかも一切外部には漏らされない。電話なんて携帯が通じれば奇跡。会えない期間は最短でも一ヶ月。そんな彼は、自衛隊の潜水艦乗りだった。究極の遠距離恋愛を選択したOLの、恋人を待つ日々「クジラの彼」。
航空設計士として、新作輸送機の設計について要望を聞き取り調査することになった女性。担当の航空自衛官が案内した倉庫への通路は、何故か男子トイレだった!? 一番優先される要望は、やっぱりトイレ!? 強面の航空自衛官と女性設計士が、タッグを組んでトイレを巡る戦いへと立ち上がる「ロールアウト」。
女性の割合が極端に少ない自衛隊内では、どんな女性でもとにかくモテる。だからこそ彼女達は強くしたたかに上を目指し、下っ端の男どもになど目もくれない。そんな中でも鬼軍曹と呼ばれる女性三曹は、いつも一般人の男性を恋人に選び、破局しては古なじみの同期を呼び出してクダを巻く。男として見られていないことに葛藤を覚えつつ、過去のいきさつ故に一歩を踏み出せないでいる同期が、今日も彼女の愚痴を聞く羽目になる「国防レンアイ」。
八年の片思いのすえに同じ職場へ追いかけてきてくれた年下の彼女は、若くて美人でアグレッシブだった。有事にしか役に立てないと自覚する自信の持てない潜水艦乗りと、普段から有能すぎるほど有能な彼女との年の差カップルが、どうにか結婚にこぎつけるまでのお話「有能な彼女」。
どうしても会いたい……愛しているなら今すぐに来て。そう恋人に言われたなら、何事おいても駆けつけなければならない。たとえそれが脱走と呼ばれる行為であっても。あのフェンスを越えれば恋人に会える。そう信じた自衛官達がつきつけられる、現実の姿「脱柵エレジー」。
はじめてのチューはいつ? 娘に問われた父は、懐かしい過去に思いを馳せる。戦闘機乗りの妻との出会いは、一言ではとても語り尽くせない事件の渦中だった。それらを乗りこえた末に恋人となって、初めて迎えたデートの思い出。そして結婚するにあたって肝に銘じさせられた、自衛官の伴侶としての心構えを思い返す「ファイターパイロットの君」。

以上、六編からなる短編集です。基本的に恋愛を主題に置いたものはあまり好まない私が、有川さんのだけは楽しく読んでしまいます。すれ違いや多少の切なさはあっても、ドロドロした所がないからでしょうか。最終的には甘く幸せになってくれるのもポイントでしょう。あと恋愛だけではなく、様々なうんちく(今回は自衛隊内部事情)が盛り込まれているのも、読んでいて楽しい要因かと。周囲がちゃんと見えている、大人同士の恋愛という感じがします。
さて内容ですが、収録作のうち二編は「海の底」、一編は「空の中」の番外編になっています。本編を知らなくても判る作りにはなっていますが、やはりここは先に「自衛隊三部作」を読んでから手に取られた方が、楽しめるのではないかと。
特に「海の底」では完璧に近い姿を見せていた冬原が、事件後に彼女の前で泣く姿は心に沁みました。うん、やっぱり彼も人間だったんだな。そして素敵な彼女とつきあえて良かったね、と。
「国防レンアイ」は、懐の深い伸下に脱帽です。あれだけ目の前に据え膳ちらつかされて、よく耐えた! いくら惚れた相手とは言え、背中で吐かれたら普通ブチ切れるよ(苦笑) 彼らの今後が幸せでありますように。
「脱柵エレジー」は……うん、現実って時に残酷よね……というお話でした。上官二人には、こちらも一年後に幸せになって欲しいです。
「ファイターパイロットの君」は、個人的に一番続きが読みたかったカップルでしたvv
以前にも感想で書きましたが、旦那の方が私の好みを鷲掴みにするキャラクターでして。ビバ、普通のふりして実は有能で包容力の強い男。冒頭からいきなり娘がいてびっくりしました。そして旦那の両親には、お話と判っていつつもイラッとこさせられる。それが作者の手腕なのか。そしてドッグタグにこだわる妻に、声を出して笑っちゃったり。くそう、上手いなあ。
そして最後に回しましたが、「ロールアウト」。いえね、トイレに関する認識に、妙に親近感を抱かされてしまって。なんというか、うん、建設業界の工事現場もそんな感じよ? みたいな。
仮設トイレだから男女共用だし、たまに大小が分かれているタイプの仮設でもどのみち隣に設置されてるから意味ねえし。そもそも小側にはドアすら存在しないし。っていうか、ドカタ親父共は大側使う時すらドアに鍵かけないこと多いから、うっかり開けちゃってニアミスとか日常茶飯だし!!
……最初はいろいろもの思いましたが、しまいには諦観しましたっけ(遠い目)
そういえば本社だって、トイレは男女共用で、そのくせ掃除は女性の役目だったよな……普通の会社や都会では訳が違うんでしょうか……

あと、後書きで触れられている作品に「星へ行く船」って……前回の「妖精作戦」といい、ほんとにピンポイントを突かれている気がします(笑)
年がバレそう……と思いつつ、そう言えばどちらも復刻されてましたっけ?
No.3576 (読書)

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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