2011年12月19日の読書
2011年12月19日(Mon)
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本日の初読図書: 1900 年代初頭のフランスに、エドモンとチエリーという兄弟がいました。 エドモンはぽっちゃりぎみの十歳。チエリーはやせ形の九歳。ふたりはよくケンカもしたけれど、自分のことを話すときはいつも「ぼくたち」という言い方をするほど仲の良い兄弟でした。 そんな彼らが父親につれられてフォンテーヌブローの森へ遊びに行ったときのこと。二枚の大きな岩の間に穴があるのを見つけて、ふたりで潜り込んでみました。そこにあったのは、ながいながいエスカレーター。一時間も下りていくと、地下の国に大きな海があり、船が待っていました。 そこでエドモンとチエリーは離ればなれになってしまいます。 何故なら「デブ港」行きの船には太った人しか、「ノッポ」港行きの船にはやせたしか乗せてもらえなかったからです。 地下の国は海と砂漠をはさんで、デブの国とノッポの国に分かれていたのでした。 デブ国の人達は、誰もがぽっちゃりと太っていて、優しくおおらか。一時間ごとに食事をしては、十五分昼寝をします。乗り物も建物も、みんな丸くて大きい作りをしていました。 ノッポ国の人達は、みんな背が高くてガリガリにやせており、気が短くてせかせかしています。食事は一日に二度だけで、それ以外はずっと仕事。乗り物には立ったまま乗り、建物は一階に一部屋しかない高く細い作りです。 それぞれの国に連れてこられたエドモンとチエリーは、それぞれガブガブデー大臣・ヤカマシノッポ先生に引き取られ、総理大臣のもとで秘書として働くことになりました。 ふたつの国は引き分けになった戦争を終えたばかりで、話し合いを持とうとしているところでした。一番大きな議題は、二つの海の間にある島を、「デブノッポ島」と呼ぶか「ノッポデブ島」と呼ぶかと言うことです。 大臣秘書となったふたりは、はらはらしながら見守るのですが、残念なことに話し合いは決裂。再び戦争が起こることになってしまい……
子供の……下手したら幼稚園の頃に絵本で?読んだお話。懐かしくて図書館で借りてきました。今回は小学生向けハードカバーです。これも一種の異世界落ち込み系でしょうか。 ううむ、深い。子供の頃は気づきもしませんでしたが、これは風刺小説なんですね。お互いに異なる価値観を持つ二つの国が、それゆえに戦争を起こす馬鹿馬鹿しさ虚しさ。 ノッポ国は「あんななまけ者はけしからん。あんなのの好きにさせていれば、地下世界中になまけ癖が広がってしまう」と自分達の価値観を押しつけ、デブ国は「よその国民がわれわれと同じことをしなくたっていい。そちらも無理に押しつけるな」と怒っています。 ……結論から言うと、デブ国は戦争で負けて実生活で勝つという形に終わるわけですが。 後書きに書かれているとおり、日本のあり方は、けっこうなところノッポ国に重なります。そしてノッポ国はこの話の中では「対比する二国」でありながら、かなりのところ「悪」寄りです。むむむ、考えさせられる……
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No.3533
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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