よしなしことを、日々徒然に……
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 2011年12月03日の読書
2011年12月03日(Sat) 
本日の初読図書:
4488024394豪華客船エリス号の大冒険
山口 芳宏
東京創元社 2008-11

by G-Tools
四場浦鉱山事件で知己となった弁護士の殿島と、気障で格好付けの名探偵 荒城、義手で口数の多い自称探偵 真野原。
今日も殿島は荒城の事務所を訪れ、彼と真野原が起こした騒動の顛末を聞いていた。そんなところへ新たな依頼人がやってくる。田村と名乗った彼は十三年前 ―― すなわち昭和十五年、イタリアから日本へ戻る航海の際に遭遇した奇怪な体験を語り、そしてその時に見た美女の人形と瓜二つの女性を見かけたから、正体を探ってほしいと依頼してくる。しかし彼がすべてを語っていないと感じた荒城は、にべもなく依頼を断ってしまった。
しかし後日、別の依頼人がやってくる。河崎という十七歳の少年は、先日事務所を訪れた男 ―― 本名は友田といった ―― の養子だと言い、彼が事故とも殺人ともつかない状況で溺死したことを告げた。
残された友田の遺品には、豪華客船エリスの招待券と謎の手紙があった。エリスの招待客は、十三年前の航海に乗っていた人々と同じ顔ぶれらしい。そして謎の手紙にはこう書かれていた。
「荒城君もいっしょにどうだね」、と……
差出人は「夜叉姫」。一部の怪しげな雑誌などで伝説的に語られている、謎の犯罪者である。数々の残虐事件、未解決事件に関わっているとされ、その実体は謎に包まれている。存在自体も公には認められていない犯罪者が、荒城を名指しにしているのだった。
友田の死に責任を感じた荒城は、この挑戦を受け、河崎・殿島と共にエリスへと乗り込む。ひそかに盗聴器で事情を聞いていた真野原も同行しようとするのだが、こちらは招待状がないため、船側から拒絶されてしまった。
出航後まもなく宝石盗難事件が起きたものの、それは荒城があっさりと解決する。それから一ヶ月に及ぶイタリアへの航海の間、ほとんど異変らしいものはなかった。しかし船がスエズ運河を越え地中海に入ってから、次々と事件が発生する。船長の失踪に始まり、再び宝石が盗まれ、乗客が次々と姿を消す。
やがて死体が発見され ―― そして船内の複数箇所で爆発が起こり、船は救助信号も発せられないまま、地中海のただ中で漂流を始めることとなって ――

雲上都市の大冒険に続く、シリーズ二作目。
戦後頃の冒険推理ジュヴナイルっぽさを意識した小説です。もっとあくまで「ぽい」ですが。
滝の上で格闘しているときに「バリツ」がどうのとか言ってみたり、「猫にホームズと名付けるのは無礼」とか「ルパンは犬の名前」だとか書かれているところでは、ついにやりとしてしまったり(笑)
それにしても荒城さんは、前回に引き続き「本当に名探偵……?」と首を傾げたくなる感じです。本当に活動派というか。爆弾処理とか避難誘導はできるけれど、推理はからっきし。ほんとに真野原が登場するまでの情報収集役ですね。で、殿島さんが集まった情報を真野原に伝え、頭脳派真野原があっさり真相を解明。そして犯人からの反撃を再登場した荒城が防ぐ、と。
そんな感じで、すっかり役割分担ができてますな。今回は三人が最初からそれなりに仲良いので、ますますそんな感じです。
途中、荒城が企んだアレについては……前作エピローグの段階で「それはない」と判り切っているので、騙されている殿島さんがどうにも見ていられないと言うか、このエピソード自体入れる必要があったのかというか……むう(−ー;)
真野原が頭良すぎるせいで、彼の登場を遅らせる必要があるというのは、某龍之介シリーズにも通ずるものがあるので判りますが……いっそ荒城を探偵よりもボディーガード的な存在にした方が映えるんじゃないかとか、そんなふうに思ってしまいます。
一生懸命で、罵倒されてもめげない荒城の一本気さが好きなので、彼の見せ場が少ないのは正直切ないッス……
No.3508 (読書)

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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