2011年10月19日の読書
2011年10月19日(Wed)
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本日の初読図書: 二十一才(推定)のユカイア・オレゴンは、子供の頃オオカミに育てられた。 おそらく十三才ぐらいだろうと思われる頃に、罠に掛かっていたところを、オオカミの研究をしていたジョー・ママに救われたのだ。レズカップルだったジョー・ママとラーラ・ママは、養子として彼を育ててくれた。見つけられたのがオレゴン州のユカイアだったから、付けられた名前がユカイア・オレゴン。 そしていまではすっかり文明社会にも適応し、十七才年上のマックス・ベネットと共に私立探偵を生業としている。オオカミに育てられたためか、ユカイアは非常に鋭敏な感覚を持っていた。現場に残されたわずかな血痕や汗の雫などから個人を特定し、性別や人種、年齢やDNAまで判別できるのだ。警察犬顔負けの精度で微かな痕跡を追跡し、人捜しの成功率は生死を問わずなら100%。 そんな彼らに、今回はFBIから捜査協力が求められた。ルームシェアをしていた四人の女性のうち三人が惨殺され、残るひとり、ジャネット・ヘイズ博士が連れ去られたのだという。さっそく現場へ赴き痕跡を追っていったユカイアは、公園の森の中で血まみれのカタナを持った女に襲われる。ラリッたように訳の判らないことをわめき立てるその女は、犯人に誘拐されたと思われていたジャネットだった。犯人は彼女だったのだ。 自身も重傷を負いながら、なんとか彼女を射殺したユカイア。 しかし彼女の死体は血液サンプルなども含めてすべてモルグから消え、後には喰い殺されたような検屍官の死体と、小動物の毛だけが残されていた。 残った毛を観察したユカイアは、そのDNA情報から、ジャネットの死体が小動物の群れに変化して逃げ出したのだという、信じられない結論を得る。 彼女はいったい何者だったのか。なぜ殺人を行ったのか。どうしてそのような信じられない生態を持つに至ったのか。 そして調査する彼らの周囲に現れる、謎の集団「パック」。ユカイアを殺そうとする彼らの目的は? やがて次々と誘拐されるFBI捜査官の行方を追ううちに、ユカイアとFBIの女性捜査官インディゴは、ユカイアの出自の秘密と、信じられないような地球規模の陰謀に関わってゆく ――
「ようこそ女たちの王国へ」の作者さんと訳者さんのお話。 400 ページ以上ありましたが、二日でさくっと読了。あちこちのレビューを読む感じ、あんまり評判良くないみたいですけど、私はけっこうおもしろいと思いました。 タイトルに「エイリアン」とあるとおり、異星人が関わってくるお話。「数百年前から計画された、エイリアンの地球侵略」とかいう展開に拒絶反応を感じる方には向かないかもしれません。でもSFというよりFTっぽいテイストだと思います。あんまり科学技術っぽいことは出てこないで、人間とは異なる生態を持った生命体との、水面下での闘争といった感じで。主役の職業が私立探偵ということもあって、相手の心理・行動を推理し先読みしていくミステリ的な色合いもありますし。 ページ数の割に重厚さはなく、気軽に読めるライトなタイプのお話。っていうか、ぶっちゃけかなり御都合主義? 後半の行方不明になった保護者を捜すくだりとかは、「設定されてる超能力ぶりは??」と思うぐらい手間取ってるし……(苦笑)
それはともかく、最初は「クールで格好いい大人キャラ」なのかと思っていたユカイアが、実はどんどん「みんなの可愛い子犬ちゃん」扱いになっていくのが微笑ましくてvv そして「札付きの犯罪者で敵方」として登場したレニー・ショーが、話が進むにつれてすっかり頼れる兄貴分になっていくのがたまりません。格好いいよレニー! チームヘッドで兄貴で父親でちょいワル系? くぅうっ、惚れるぜ。 やはりちょいワル親父の相棒マックス・ベネットもいけてるし、「ようこそ〜」に引き続き脇キャラが魅力的です。 本国では続編が更に三作出ているようですけれど、そちらの邦訳は未定だそうで。これはぜひ翻訳してほしいです。読みたい! もっとパックのみんなとの交流を見たい! 続編刊行、激しく希望する作品でした。
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No.3434
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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