2011年06月30日の読書
2011年06月30日(Thr)
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本日の初読図書: 明治維新がなってから早二十年。 元徳川方の旗本であった長瀬家の若様 健吾も二十歳を迎えていた。 俸禄を失い落ちぶれた家には、旧家臣団が身を寄せており、彼らを養うためにも先立つものは必要で。将来を考えた長瀬は、予算と自分ができることを考え合わせ、警察の巡査になることを決めた。そうすれば安月給ながらも定期収入ができる。空いた時間で副業をこなすこともできるだろう。 同じ境遇の仲間達に声をかけた結果、八人の元若様が採用試験を受けることになった。 とりあえず全員が無事筆記試験を突破したが、その後には教習所で二ヶ月にわたる泊まり込みの教習を受けることになる。学ばねばならない科目は多く、毎週小試験が行われては、落第者は追試の上、罰則を与えられる。そして三ヶ月経っても合格できなければ、警官にはなれないのだ。 それだけでも厳しいのに、同室になった中には維新時に朝敵だった長瀬達とは敵対していた「薩摩組」、維新後に所領を減らされ静岡に移住した士族出身「静岡組」、四民平等の代になって一般から応募してきた成り上がり商人出の「平民組」など、人間関係のややこしい相手達が山のよう。 裕福な平民組や、上層部にコネのある薩摩組にはあからさまに依怙贔屓をする師範達に、若様集団は早々に目をつけられてしまう。 それでもどうにか日々過ごしていく中で、小銃の教練中、平民組の姫山が怪我を負った。最初は暴発によるものかと思われたそれだったが、銃を調べると誰の物も発砲した形跡がない。 不審に思う生徒らだったが、しかし師範達はいっこうに気にする様子を見せない。 やがてぶつかり合いながらも徐々に結束を見せ始める生徒達だったが、事件はやがて世間を騒がせるピストル強盗とも結びついて、思わぬ様相を見せ始め……
以前に読んだ「アイスクリン強し」の続編というか、前日譚というか。 アイスクリン〜では、既に警察巡査になっていた「若様組」達が、警官になるまでのお話です。前作ではほぼモブ扱いでリーダーの長瀬とサブ格で切れやすい園山以外は見分けつかなかったんですけど、今回はかなり書き込まれています。 ……っていうか、登場人物多っ。 若様組八名、薩摩組三名、静岡組三名、士族組一名、平民組四名、教師など教習所の人間が十名に加えて、教習所外の知人達も入れると、合計で何人だ……? 人物一覧と首っ引きで読んでおりました。そうしないと、いましゃべってるのがどの派閥の人間かもあやしいぐらいで。 でも魅力的かつ個性的なキャラはいるもので、そこらへんはじょじょに見分けがついていくんですけどね。 最初はただの嫌な奴にしか見えなかった幹事が、だんだん一筋縄ではいかない食えない人物に見えてくるのがおもしろかったです。 前作主役のミナなども登場するし、やはりここは両方あわせて読んでおきたいところかと。
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No.3222
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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