届きましたぜい!
2010年12月06日(Mon)
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市川崑監督、長谷川一夫主演、雪之丞変化1963年バージョン。 ひゃっほう! ここのブログをよくご覧の方はお判りでしょうが、私は復讐ものが大好きです。古くは和田慎二がはまりはじめでしょうか。雪之丞変化に厳窟王に白髪鬼と、時代を逆行するかのような順序で読んでいっておりますが、やはりなんといっても雪之丞変化は格別です。そうでもなけりゃあ、フリーテキスト配布なんてするもんですかい、というわけで。 もう届いて即行で、読みかけのあれこれうっちゃっといて、次兄にビデオデッキを借りに行き、父に頼んで居間のテレビに接続してもらい、かぶりつきで鑑賞しました。 レンタル落ちの中古品、送料込みで1000円ちょいと、ちょっと心配なぐらいのお値段だったのですが、無事に届いてくれたし、外見も映像もほとんど痛みなく、そういう意味では非常に良い買い物でした。
でもって、肝心の内容ですが。 これは個人的に★四つと言うところですかね。 事前にいろいろ知識を仕入れていたせいで、目に付いてしまう粗もあり、分かりやすいところもあり、と良し悪しはあれど、ともあれ楽しく見られました。 とりあえず脚本は良かったと思います。台詞まわしとか手紙の文章とか、土部さんが紅玉磨いて悦に入ってるシーンとか、細かいところがファン心をくすぐってくれます。 波路さんと雪さんが一線を越えず、あくまでプラトニックなのも花丸。波路さんの今際の際に「もし来世というものがあるのなら……」と、結ばれることが許されなかった悲しみを口にするのが切なくてまた良し! 雪さんは一切直接的な手を下さず、悪党達が次々と自滅していくのが良い。ここ重要なのに、ものによっては直接ずばっと斬り殺しちゃったりするから、興醒めしちゃうんですよねえ。
★ひとつ減の理由は、闇太郎と雪之丞の交流がほとんどなかったこと。 一人二役でやっているのだから、同じ画面に配するのが難しいのは判りますが、それにしてももう少し闇の親分と雪さんの絡みを入れてくれないと、闇太郎が一方的に雪之丞を気に入っているばかりで、雪さんが闇太郎を信頼する根拠が薄くなってしまいます。二人が背中合わせで匕首かざし、「いくぜ雪さん」「あい、親分」ってなシーンが欲しかった……
あともうひとつ、これはたいていの復讐ものに言えるんですが、原作では復讐こそ善なり。悪に対して恨みを晴らし、胸をはって清々しく意気揚々と凱旋を果たすという内容が、「復讐なんて空しいものだった……」的な、後悔に満ちた終わり方になっているものが多いんですよね。今回のはさほどでもなかったんですけど、それでも雪之丞は三人もの人を殺し、罪ない波路までも死なせてしまったことを悔い、ひとり姿を消すという淋しい終わりになっておりまして……これじゃあ「雪之丞の付き人にでもなって上方へ行くかな」とか言ってる、闇の親分の立場がないじゃないですか!!
この二点が不満どころでした。 ……あとはね……あちこちで語られていますが、やっぱり中の人の年齢が……(苦笑) いやほんと、お綺麗なんですよ? 横顔とか、時おりはっとするほど美しく。雪さんを演っている時には、とても五十代には見えません。とはいえやはり……本来なら二十歳前後の花も恥じらう若女形。それが下手するとお師匠さんの菊之丞より貫禄あるんじゃなかろうかと思うと…… ああ、せめて顎の下のたるみさえなければっ(泣)
そんなこんなで、総合評価が★四なのでした。 とりあえず、買ったことに悔い無し。つうか、今後も見返す。むしろDVDに落とし終わったら、即行で見返して聞きとりそこねた台詞を確認する(きっぱり)
ただまあ、もうひとつ付け加えるなら、これは映画として見るより上等な舞台だと思って見た方が良いかもしれないなとだけ。 なにしろいまの時代劇に較べると、画面は暗いし、セットや効果もちゃちい所はとことんちゃちいし。でも、それはそれだと思って見ると、逆に今どきの軽い時代劇より、よっぽど重厚で雰囲気のある作りだと思うのです。
……較べるのが、タッキー版かと思うと、なんかもうなんでも良いという気にもなるんですけどね(乾笑) いっそこの脚本で、早乙女太一さんとかがやってくれたら良いのになあ(うっとり)
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No.2960
(映像)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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