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 Metallic Heart おまけ
 ― CYBORG 009 FanFiction ―
 
神崎 真


 いつしか雨はやみ、雲の切れ間からは夜空が顔をのぞかせていた。
 黒天鵞絨に銀砂をまき散らしたような、きらめく星々。その中に、尾を引き流れるひときわ大きな輝きがあった。
 聞き慣れた爆音が、風の流れに入り混じる。
『このへ……なん……スリー……』
『そう……たし、か……そのあたり……で……』
 脳波通信機は、相変わらずとぎれとぎれにしか音を拾ってくれない。だが、それでもだいたいの様子は判った。
 上手く動かない左腕で、苦労してポケットを探る。
 取り出したライターを着火するのには、さらに努力が必要だった。ようやく小さな炎が一瞬だけともり、それもすぐに消えてしまう。
 だが、それだけで充分だった。
 夜空を駆ける流星が、途端に方向を変える。
 ―― あんな勢いで飛びまわって、残っている敵に撃墜されても知らねえぞ。
 まっすぐにこちらへと向かってくるのを眺めながら、アルベルトは苦笑した。
 そんなことを考えている間にも、その姿は見る見るうちに近づいてくる。もう間もなく、ここへたどり着くことだろう。
 せっかくの流れ星だが、どうやら願いを唱える暇などはなさそうだ。
 ―― ま、御利益なんざないだろうしな。
 肩をすくめる。
 さてと、ではなんと言って出迎えるとしようか。
 それを思案する余裕ぐらいは、まだ残っているだろうから……


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