Shooting Star 〜 Joe 〜
 ― CYBORG 009 FanFiction ―
(2002/9/29 19:46)
神崎 真


 ―― 悪いな、ジョー。燃料切れだ。


 遠く、成層圏の彼方にまで迎えに来てくれた仲間は、そんなふうに言って、あっさりと笑ってみせた。
 魔神像の爆発によって、遠く外宇宙へと流れゆこうとしていた、ぼくの手をつかみ止めて。
 きらめく星空を頭上に、視界を埋め尽くすほど蒼く輝く惑星ほしを足下に。
 どこか面はゆげに言うその表情の、何処を探しても悔恨や恐怖の色など見受けられず。
 重力に囚われ、落下を始める、ぼく達の身体。
 少しずつ速度を増し、地上へ向けて加速してゆく。


 離してくれ。


 きみ一人なら、まだ助かるかもしれないじゃないか。


 どれほど声を枯らして叫んでも、けして彼の手は緩むことなく。
 もう、充分なのに。
 暗く凍てついた宇宙の果てではなく、皆のいる、母なるこの星の上で死んでゆける。
 ぼくはもう、それだけで充分なのに。
 なのに、きみは。


 いつしかぼくもまた、その背へと両手を伸ばし、力一杯抱きしめていた。
 やがて、大気との摩擦で燃え始める肉体。
 開いた瞳に映るのは、熱せられた空気が起こす、まばゆい光芒ハレーション
 四肢の末端から、灼熱の苦痛が浸食してくる。
 人造皮膚が灼けて、溶けて、内部の金属機構をあらわにしてゆく。
 それでもなお、互いの身体にまわした腕の感触だけは、見失うことなく。
 もはや光以外は何も映ることのない両目に、幾つもの面影が去来する。


「 ―――― 」


 最後に呟いたのは、果たして誰の名前だったろう。
 意識すらもが溶け、消えていこうとする最期の瞬間。
 閃くようによぎったのは ―― ぼくらへと呼びかける、仲間達の声だったかもしれない。
 だがそれさえも、もはや確認するすべはなく……光に呑み込まれる、意識 ――


 その晩、夜空を駆ける一筋の流星を見上げた者は、果たして何かを願ったのだろうか……


 ―― When You Wish Upon A shooting star ――

 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・


……ここは、どこだろう……


ぼくは……死んだの、か……?


―― 違ウヨ ――


―― キミハチャント、生キテイル ――


……生きて? そんな、馬鹿な。


―― 本当ダヨ。ボクガ地上ニてれぽーとサセタンダ ――


001? きみなのか?


―― 遅クナッテゴメンヨ。ズイブンヒドイ怪我ヲ、サセテシマッタ ――


―― キミ達ハトテモ長イ間、眠ッテイタンダヨ ――


眠って……?


―― ソウダヨ。デモ、モウ大丈夫ダカラ ――


……大丈夫……本当に?


―― アア。ダカラ…… ――












―― 目 ヲ 覚 マ セ ――











(2002/9/30 14:00)



本を閉じる

Copyright (C) 2002 Makoto.Kanzaki, All rights reserved.