このお話は、私、神崎 真が生まれて初めて書いた小説です。
思い起こせば、小学校の図工の授業で「ミツバチの絵を描こう」というテーマのもとに、
どんなシーンを描くのかまず考えてみましょうと、原稿用紙を配られたのがきっかけでした。
あれから早×年……未だにお話を書き続けているわけですが、その原点はやはりここに
あるのだと、今回読み返して、妙にしみじみと感じました。

しょせんは小学生の書いたもの、つっこみどころは山ほどあるのですが、それでも
いちおう記念をかねて、UPしてみました。当時のありさまを残すため、あえて手は
入れず、まったくそのまま引き写してあります。まあ、お暇な方は
読んで笑ってやっていただければ、幸いにて。
(とりあえず私は、キャラのネーミングだけで、のたうち回りそうです/汗)

(2003/2/21)




ハ チ の 冒 険

◇◆ 第 一 話 ◆◇


 私は、暗い穴の底で、さなぎの皮をぬぎました。
 まだ、頭の上には糸のまくがあります。早く外に出たい一心でまくをかみやぶりました。
 外です。やっと外に出られたと思いました。なにせ今の今までずっと穴の底でくらしてきたのだから、うれしくてたまりません。まずは、みつを飲んで体を固める事です。私は、体が固まるまでイライラしていました。2、3時間後ようやく体が固まりました。
 まず始めに何をしてよいのかわからず、先ぱいにきくと、
「穴のそうじをしないと次の卵が生めないだろうが!」とおこられてしまいました。
 私は、あわててそうじにとりかかりました。まず穴の入口のまくをかみちぎってすてます。つぎはさなぎのからをかみくだいて巣の外にはきだしました。ちょうど終わったところで女王バチがやって来ました。卵を産むのです。
 私は、じゃまにならないように横にどくと、何気なく、巣のそうじをしていました。
 するとさっきの先ぱいがやってきて、
「お、やっとるな。がんばれよ。オレはブンだ。よろしくな。」といってくれました。
 私は友達が出来たのでうれしくてたまりません。私も、
「私はマーヤ。よろしくね。」と言いました。
 二、三日もそうじをして今日もねる時間になったときです。いきなり、ブンが来て
「マーヤ毎日がんばってるな。お前はあしたから幼虫にエサをやるんだ。わかったな。」と言って行ってしまいました。私はただ、ぽかん、と見送るだけです。しばらくして、しだいにはっきりするとうれしくなりました。幼虫のせわ係は、今までみつ集めの次にやってみたかった仕事です。あしたがたのしみでねました。
 仕事が始まりました。またけっこうやってみると大変な物です。何十回となく穴に首をつっこんでは、幼虫がなにをしているかしらべなければならないし、みつもたくさんもらうけど、自分は一てきも飲まずに全て幼虫にあげるのです。
「もういや。」と思い始めたころにまたブンが来て、
「今日から試験飛行だぞ。がんばれよ。」と言われました。もう飛びあがらんばかりによろこびました。
 もう幼虫にはあいたくもありません。今日は、ぐっすりねむれそうです。
 試験飛行ではとくにどうと言うことはありません。ただ巣を中心におうぎ型に飛ぶだけです。明日からみつ集めです。私は、あれこれ想像して楽しんでいました。たくさん集まるといいです。
 さーて出発だというときにブンがやってきて。
「いっしょにあつめようぜ。」と言ってきました。もちろんOKしました。
 みんなでみつと花粉を集めて帰るときのとこです。
「うわー たすけてくれー。」
 仲間の声が聞こえました。見ると仲間の一人がクモのあみに引っかかってもがいているではありませんか。私はすぐに助けに行こうとしました。がしかし、ブンが足をつかんではなしません。
「ブン、はなしてよ。食べられてしまうじゃないの。」
 すると、
「いくな。いけばおまえもクモにやられてしまうぞ。」といいました。私はもうたまらなくなって、その場からにげました。
 ある日の事です。その日は雨でした。おかげで、とんでもないことがおこりました。
 カエルです。カエルがおそって来たのです。みんないっしょうけんめいにたたかいましたが、多くの仲間がしんだり、食べられました。
 ところで、もう一つ重大なことがおこりました。
 新女王バチのたんじょうです。
 みんな大いそがしです。まずは、王台を作らなければなりません。わたしもブンもいっしょうけんめい手つだって、王台はできあがりました。旧女王バチが卵を産んで、幼虫になると、ローヤルゼリーを食べさせなければいけません。ローヤルゼリーは、ハチミツと花粉をまぜて作った物で、これを食べなければ、女王バチにはなれません。
 とうとうサナギがだっ皮をして、新女王バチが産まれました。旧女王バチは約半分のハチをつれて、出ていかなければいけません。
 私や、ブンもそうです。
 また、今度巣を作ることになりそうです。


 ― つづく ―



◇◆ 第 二 話 ◆◇


 しばらく飛ぶと、女王バチは、一つの大きな枝に止まりました。そこで、私たちもそこらへんの枝に止まりました。
 そこで私は不思議に思いました。なぜなら、女王バチです。女王がなぜこれだけしか飛べないのでしょう。そこでブンに聞くと、
「バッカだなー。女王バチは卵をいっぱいもっているうえに飛ぶ事なんてない、といっていいほどだ。飛べなくてあたりまえだ。」と言われた。考えてみれば、あたりまえです。
 しばらくすると、三びきほどのハチが飛んでいきました。巣を作れる場所をさがすのです。三十分後に三びきとももどってきて、むれの先頭に立つと、みんなをあん内していきました。
 ついた所は、大きな木のうろです。うろといっても、入口が五センチ、中の上から下まで五十センチ、おくゆきも五十〜六十センチの、大きな物です。まずは、巣を作らなければいけません。
 巣作りです。巣作り役は、私やブン達の若い者組です。
「まず、朝早いうちに、みつをたくさん飲んで、一日中、陽あたりのいい所でのんびりしていろ。」と、ブンが言いました。
 なんと、ブンは、若い者組のリーダーだったのです。いわれた通りにしていると、お腹がねばねばしてきました。ブンに聞くと、
「おっ、出てきたか。よーし、みんな集まれ〜! これから、巣作りをする〜。一列にならべ〜!」
 私は、なんのことかわからず、ただ列の最後のほうにならぶだけでした。
 見ると、みんな、お腹のねばねばしたかたまりを取ると、それで巣を作っていました。へやが十個ほど出来ると、女王バチに、五部屋ほど卵を産んでもらい、のこり三部屋にみつ、二部屋に、花粉を入れるようにいって、また、部屋を作っては、卵を産みためる部屋を決めていきました。
 二日後に、ようやく巣らしい物が出来ました。これでようやく、みつ集めができます。ああそれから、あのお腹から出てきたのは、みつろう、だそうです。
 ところで大変な事がおこりました。
 夜、私たちがねているあいだに、けがをしたネズミが入ってきて、そこで死んでしまったのです。ねずみは、くさっていくけど、おしても、引いても、動きません。翌日、みんなで出かけて、プロポリスという殺菌効果のある、ガムのような物質を運んで来ました。三日かかって、ようやくねずみをつつむ事が出来ました。これで、ねずみは、くさりません。
 春です。
 みつのたくさんある時期です。みんな大いそがしで、みつや、花粉を集めています。いまのうちに集めておかないと後が大変だから、みんながんばっています。
 またなにかおこりそうです。


 ― つづく ―



◇◆ 第 三 話 ◆◇


 二、三日、何もなく、平和でした。ところが、とんでもない事が起きました。一つしかないお花畑の花が、かれてきたのです。
 大変です。急いで別のお花畑を探さないといけません。みんな、今まで集めたみつと、花粉を少しづつたべながら、代わりのお花畑を探しました。
 みつと、花粉が残り三分の一になったころ、ようやくお花畑が見付かりました。この前のより、みつも、花粉もたっぷりあるし、おまけに人はいないし、広いのなんの一キロ四方ぐらいあります。これだけあれば、とうぶんだいじょうぶです。けれど、急いで探していた間に食べた分のみつと、花粉を集めなければならないので、とても忙しいです。
 1カ月後、ようやく落ちついたころ、またもやとんでもない事が起こりました。いたずらっ子が、みきをけったり、巣の中に石を投げこむのです。
 その子は、かわいそうに、さんざんさされた上に、おどろいて転んでしまって、泣きながら帰ってしまいました。まったくもー。もう二度と来ないでしょう。
 おもわず「お大事に。」と言ってしまいました。
 まだまだ安心は、出来ません。ハチの巣がある事など知らない大人達が、この木を切りたおそうと、電動ノコギリをみきにあてました。当然、いくらも切らないうちに、みんなの集中こうげきにあって、逃げていきました。もうだいじょうぶです。
 ところで、今度は、うれしいけれどやっかいな事が起こったのです。何だと思います? じつは、みつや、花粉を集めすぎて、へやがたりなくなったのです。また巣作りです。みつや、花粉が、たくさん集まったのはいいのですが、巣を作るのは、大変です。
 巣作りが始まりました。ひさしぶりにブンに会えたので、うれしいです。ガンバロ。
 巣のたてましは、一日ほどで終わりました。たっぷり部屋を作ったので、当分だいじょうぶです。
 本当に、事件が多いんだから、も〜。


 ― つづく ―



◇◆ 第 四 話 ◆◇


 ある雨の日、よそうどおりに事件が、おこりました。
 私たちの巣は、入口が少し高いところにあります。大雨がふったので、うろに水がたまったのです。まだ巣まで三十センチぐらいあるけど、もうすぐ巣までとどきます。そこで、私たち若い者組があつまりました。外から中まで、トンネルをほって、排水坑を作るのです。交代で掘っていきました。羽がぬれてさむいけど、そんな事言っていられません。水が、あと巣まで三センチになった時にブンが、
「逃げろー!」
 といったので、みんないっしょに逃げたとたんに、坑に水があふれてきて、うろの中の水がへっていきました。
 ―― 一件落着 ――


 【おしまい】
(1985.4)



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