++お礼SS 楽園の守護者


※番外編「優しき沈黙」の補足です。
そちらを読了になってからどうぞ。







 ―― 語られないからこそ、優しい沈黙があった。

 すべてを知りながら、何も言わぬままに逝った王。
 なにかを悟りながらも、問わぬまま傍らに立ち続けた騎士。

 自分や王の後継たる青年は、確かに守られていたのだろう。
 けれど安寧の時は無情に過ぎ、多くの謎を明らかにされたいま。
 もたらされたのはけして満足でも爽快感でもなく。
 残酷なまでの現実が、目の前には横たわっている。

 ―― 自分はもう、知ってしまった。

 いや、あるいは。
 今はもう、遠く思える過去のあの日。重傷を負ったアーティルトを救おうと決断したその時。
 既に捨てていたはずの王族としての血を、自らに認めてしまったというのならば。

 自分はもはや、沈黙しているわけにはいかなかった。
 優しさにその身を浸して口を閉ざしていられる時間は、もう過ぎ去ってしまったのだから。

 だから自分は、言葉にするだろう。
 なにも知らない、『あの男』に対しても。
 そうだ。教えてやろう、真実を。たとえそれが、悲劇しか呼び込まない現実だとしても。

 自分にとっての、謎はすべて解けた。
 だから『あの男』にも、知らないでいる事実を知る権利と、そして義務がある。

 沈黙なんて、優しいことなどしてやらない。
 謎をすべて知ったとき、彼ははたしてどう行動するだろう。
 許容か、知らないふりか、それとも沈黙か。
 はたしてどれを選ぶだろう。
 知りたい。教えて欲しい。
 あるいはそれは、自分にとって、最後に残った謎なのかもしれない。

 だから、教えてもらおう。
 それぐらいの甘えは、許してもらえるだろう?

 ねえ……違いますか?

 父上 ―― ?


―― まとまらないのでざっくり削りましたが、ラストでのロッドの心境は、こんな感じだったかと。



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