境界
 モノカキさんに30のお題より】
 ― Makoto.Kanzaki Original Novel ―
(2003/05/04 05:36)
神崎 真


 己と世界。
 内面と外面。
 薄い薄い、たった一枚の外皮が隔てるその境。


 たとえどれほど客観的に周囲を見ようとも、それは所詮『客観的と自身が定義するところの主観』でしかなく。
 たとえどれほど親身になってくれる相手がいようとも、それはどこまで行っても『こうであろうと思いこんだ、他者の視線』にしかなり得ない。


 たった一枚の皮膚。
 それとも、一個の頭蓋。


 理解したい。理解されたい。
 その望みを厳然と断ち切る、絶対の境界。


 人は何故、これほどの孤独に耐えられるのか。
 世界にたった一人。
 絶対の境界に隔てられて、ただ一人立ち尽くすことに、なぜ絶望せずにいられるのか。


 互いに手を伸ばし、互いの領域へと踏みいることができたなら。
 それはきっと至福。
 そしてきっと絶望。


 理解し合えぬからこその夢を、憧れを、己の内へと抱いて。
 叶わぬと知っている努力を続けて、互いの内部へと思いを馳せる。


 永遠に消えることない絶対の孤独を、そうして慰めてゆくそのことこそ。
 生きるという、その意味なのかもしれないと。


 ―― それとも。


 こんなふうに思うこともまた、自分一人の抱く、空しい幻想に過ぎないのだろうか。


(2003/05/04 05:50)



モノカキさんに30のお題

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